フィリピンから、金沢のカシミジムにやってきたロリー。
元世界王者のマルコム・ツニャカオを番狂わせで破って
獲得した王座の2度目の防衛戦は、日本王者の三谷を
迎えることとなった。
僕の予想は、三谷の判定勝ち。本来の端正なスタイルに加え、
最近はパンチの決定力も増してきていて、若い三谷の自信と
勢いが勝るのでは、と考えたのだ。しかし、ツニャカオに
勝ったロリーの実力は本物だった。
試合は、教科書通りのジャブの突き合いからスタート。
その中で右ストレートや左ボディを狙う三谷、これもまさに
教科書通りだ。一方のロリーは、1ラウンドの前半こそ
ジャブから入ったものの、その後は必ずしも形にこだわらず、
いきなりの右ストレートなどを効果的にヒットした。
その後も緊迫したペース争いが続く。フォームの綺麗な、
型通りのテクニックを持つ三谷と、少々ラフでもとにかく
当てればいいという、実戦的な技術を持つロリー。
タイプこそ違えど、こういったテクニシャン同士の打ち合いは
非常に見応えがある。
お互いに、ボディブローのヒットが印象に残る。しかしそれは、
両者ともディフェンスがいいために顔面へのパンチがなかなか
当たらないから、という理由もある。この試合には「世界ランカー
対決」という側面もあり、それに恥じないハイレベルの攻防が
繰り広げられている。
このままでは埒があかないと判断したのだろうか、6ラウンドには
両者とも攻撃性を強める。ロリーが右ストレートで、そして三谷が
左フックで、それぞれ相手の顔面を弾く。スリリングなラウンドだった。
続く7ラウンドと6ラウンドの違いは、攻撃性はそのままに、
両者ともディフェンスに一層の注意を払った点だ。まるで2人が
全く同じことを考えているようで、だからこそ均衡が保たれて
いるのかもしれない。
ポイントの優劣は分からないが、流れとしてはほぼ互角のまま
7ラウンドまでが終わった。この均衡を破るのは果たして
どちらか、そしてそれはどんな攻撃で、なのか。
8ラウンド。三谷がロリーのお株を奪うかのように、いきなりの
右ストレートをヒット。もし展開を変えるとすれば、こういった
意表を突いたアイディアがきっかけになるかもしれない。
ただし残念ながら、ラウンド全体の印象としては、その後にロリーが
放った左アッパーのインパクトの方が勝った。
このパンチは効いたかもしれない。9ラウンド、端正な三谷の
フォームが若干乱れ、反対にロリーの細かいパンチを受ける
場面が目立ってくる。10ラウンドには乱れは修正されていたが、
印象としてはやはり「やや押され気味」という状態。ここへ来て
ようやく、ロリーがわずかに抜け出してきたようだ。
素晴らしい2人のボクサーの戦いは、最終12ラウンドへ。
劣勢を意識したか、三谷が攻撃のテンポを上げる。それに呼応
するかのように、ロリーも手数を増やす。そんな中、ロリーの
コンパクトな左アッパーで三谷の腰が砕けた。痛恨のダウン。
再開後、何とか凌ごうとする三谷だが、これまでの疲れや
ダメージも一気に表面化したようだ。それは表情にも動きにも
表れている。左フックから、ラフなパンチを乱れ打ちして
2度目のダウンを奪うロリー。その直後にレフェリーが
試合をストップし、最終ラウンドTKO勝ちでロリーが
2度目の防衛を果たした。
最後の必死の連打、そして勝利を決めた後にリングにへたり込んで
感涙にむせぶ表情から、ロリーにとっても余裕のない苦しい戦い
だったことが伺えた。
三谷にとっては痛い敗戦となったが、これは是が非でも今後の
糧にしなければならない。既に三谷はWBA、WBCともに
世界のベスト10に入っており、わざわざこんな強敵と対戦
せずとも、世界挑戦は可能な位置にいたのだ。それなのにあえて
この試合に臨んだ三谷陣営の心意気は、大いに称えられるべきだ。
元世界王者のマルコム・ツニャカオを番狂わせで破って
獲得した王座の2度目の防衛戦は、日本王者の三谷を
迎えることとなった。
僕の予想は、三谷の判定勝ち。本来の端正なスタイルに加え、
最近はパンチの決定力も増してきていて、若い三谷の自信と
勢いが勝るのでは、と考えたのだ。しかし、ツニャカオに
勝ったロリーの実力は本物だった。
試合は、教科書通りのジャブの突き合いからスタート。
その中で右ストレートや左ボディを狙う三谷、これもまさに
教科書通りだ。一方のロリーは、1ラウンドの前半こそ
ジャブから入ったものの、その後は必ずしも形にこだわらず、
いきなりの右ストレートなどを効果的にヒットした。
その後も緊迫したペース争いが続く。フォームの綺麗な、
型通りのテクニックを持つ三谷と、少々ラフでもとにかく
当てればいいという、実戦的な技術を持つロリー。
タイプこそ違えど、こういったテクニシャン同士の打ち合いは
非常に見応えがある。
お互いに、ボディブローのヒットが印象に残る。しかしそれは、
両者ともディフェンスがいいために顔面へのパンチがなかなか
当たらないから、という理由もある。この試合には「世界ランカー
対決」という側面もあり、それに恥じないハイレベルの攻防が
繰り広げられている。
このままでは埒があかないと判断したのだろうか、6ラウンドには
両者とも攻撃性を強める。ロリーが右ストレートで、そして三谷が
左フックで、それぞれ相手の顔面を弾く。スリリングなラウンドだった。
続く7ラウンドと6ラウンドの違いは、攻撃性はそのままに、
両者ともディフェンスに一層の注意を払った点だ。まるで2人が
全く同じことを考えているようで、だからこそ均衡が保たれて
いるのかもしれない。
ポイントの優劣は分からないが、流れとしてはほぼ互角のまま
7ラウンドまでが終わった。この均衡を破るのは果たして
どちらか、そしてそれはどんな攻撃で、なのか。
8ラウンド。三谷がロリーのお株を奪うかのように、いきなりの
右ストレートをヒット。もし展開を変えるとすれば、こういった
意表を突いたアイディアがきっかけになるかもしれない。
ただし残念ながら、ラウンド全体の印象としては、その後にロリーが
放った左アッパーのインパクトの方が勝った。
このパンチは効いたかもしれない。9ラウンド、端正な三谷の
フォームが若干乱れ、反対にロリーの細かいパンチを受ける
場面が目立ってくる。10ラウンドには乱れは修正されていたが、
印象としてはやはり「やや押され気味」という状態。ここへ来て
ようやく、ロリーがわずかに抜け出してきたようだ。
素晴らしい2人のボクサーの戦いは、最終12ラウンドへ。
劣勢を意識したか、三谷が攻撃のテンポを上げる。それに呼応
するかのように、ロリーも手数を増やす。そんな中、ロリーの
コンパクトな左アッパーで三谷の腰が砕けた。痛恨のダウン。
再開後、何とか凌ごうとする三谷だが、これまでの疲れや
ダメージも一気に表面化したようだ。それは表情にも動きにも
表れている。左フックから、ラフなパンチを乱れ打ちして
2度目のダウンを奪うロリー。その直後にレフェリーが
試合をストップし、最終ラウンドTKO勝ちでロリーが
2度目の防衛を果たした。
最後の必死の連打、そして勝利を決めた後にリングにへたり込んで
感涙にむせぶ表情から、ロリーにとっても余裕のない苦しい戦い
だったことが伺えた。
三谷にとっては痛い敗戦となったが、これは是が非でも今後の
糧にしなければならない。既に三谷はWBA、WBCともに
世界のベスト10に入っており、わざわざこんな強敵と対戦
せずとも、世界挑戦は可能な位置にいたのだ。それなのにあえて
この試合に臨んだ三谷陣営の心意気は、大いに称えられるべきだ。