ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

全日本新人王戦

2005年12月18日 | 国内試合(その他)
スカパーに入ったおかげで、初めて全日本新人王戦を見ることができた。
当然まだあまり知られていない選手ばかりなのだが、これがなかなか面白い。
技術的には未熟なのだろうが、とにかく勝利に対する意欲を前面に出した
戦いぶりが清々しい。

今年は史上初めて、双子の新人王が誕生したことが話題となった。
まずは兄の杉田純一郎(スーパー・フライ級)が劇的な最終ラウンド
TKO勝ちで勢いをつけ、スーパー・バンタム級の祐次郎がそれに続いた。

実はこの祐次郎の相手は、個人的に一番注目していた中岸風太であった。
元世界王者・戸高秀樹と親交が深く、戸高と同じくロス合宿に参加したり、
戸高の世界戦のリング上に上がったりもしていた。その頃はまだ子供という
印象だったが、久しぶりに見た中岸はすっかり大人の体になっていた。

肝心の試合の方は残念ながら杉田に判定で敗れてしまったが、センスの良さと
負けん気の強さは存分に感じさせてくれた。杉田のプレッシャーに押されて
分の悪い展開に終始しながらも諦めずに手を出し続ける姿は、まさに新人王戦に
ふさわしいものだった。

他には、ライト・フライ級の宮下優の評判が良かった。しかし対戦相手である
大橋卓矢のタフネスに手を焼き、苦しみながらの判定勝ち。むしろ敗れた大橋の
闘志とフィジカルの強さの方が印象に残った。空振りを繰り返し、また宮下の
カウンター気味のパンチを再三もらっているにもかかわらず、ほとんど最後まで
体のバランスは崩れなかった。

それから、フライ級の奈須勇樹やウェルター級の渡部信宣など、端からKO狙いで
強気に攻めていく選手も面白かった。新人の頃にハードパンチを売りにしていた
選手は、もう少し上のレベルに行くと痛烈なKO負けを喫したりして挫折する
パターンが多い。しかし逆に言えばこの新人王戦では、まだ挫折知らずで純粋に
自分のスタイルに夢を見ている選手の、まぶしいまでの輝きを見ることが出来るのだ。
新人王戦が毎年盛況なのは、そういったフレッシュさを楽しみにしている人が
多いからではないだろうか。

予想以上に面白かった新人王戦。勝った選手は、基本的に日本ランクの10位に
入ることが出来る。ここで見たホープたちの名前を覚えておけば、今後の国内
ボクシングの観戦に大きな楽しみが増えることだろう。

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