ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

WBA世界ミニマム級TM チャナ・ポーパオインvs新井田豊

2001年08月25日 | 国内試合(世界タイトル)
新井田豊が、判定でWBA世界ミニマム級の新チャンピオンになった。

僕の住んでる地方ではTV中継がなかったので、ネットでこのニュースを知った。
しかしせっかく新王者が誕生したというのに、なぜか手離しで喜んでいる人は
少ない。どうやらかなり微妙な判定だったようだ。

どんな内容だったにせよ、公式なジャッジが3人とも新井田の勝ちと採点した
のである。もっと素直に喜べばいいのに・・・。

僕はボクシングは好きだが、ボクシングファンという人種はあまり好きではない。
「私の採点では新井田が負けていた」って、お前の採点なんか別に聞きたくも
ないっつーの! そんなに採点を発表したけりゃ、今すぐテスト受けてジャッジに
でもなれよ! 趣味で採点するのは勝手だけど、喜んでる人の気分を害するなよ。

新井田は試合後、夜のスポーツ番組に生出演してインタビューを受けていた。
その時の態度がまた、「良識あるファン」には不遜に映ったようである。

そうかなー。僕も見てたけど、全然気にならなかったぞ。多分そういう人の頭の
中には「世界チャンピオンはこうあるべき」みたいなイメージがあって、新井田の
態度はそれとは違った、ってことなんだろう。それって勝手に好きになっといて、
自分のイメージに合わないことされたら「裏切られました」とか言ってるアホな
アイドルオタクみたいなもんだろう。ずいぶん自分勝手な話だ。

「高校生らしく」とか「女らしく」とか、自分のイメージを他人に押し付けようと
する連中には本当に腹が立つ。そんな型にはまってばかりいては、日本には
天才やスーパースターが現れる土壌なんて永遠に育たないだろう。そのくせ、
状況が悪くなると決まって、「スターの登場が待たれる」とかしたり顔で言って
いるのである。「矛盾してるよ」なんてツッこむのさえ馬鹿らしくなる。

自分たちで天才(かもしれない人)の足を引っ張っておいて、そいつがコケたら
「やっぱりね、化けの皮が剥がれたよ」だって。あまりの小者ぶりに、哀しく
なってくるほどだ。

頭が堅いのは仕方がない。そう簡単に治るもんじゃないから。ただ、自分に理解
できない存在が現れた時、足を引っ張るのだけはやめてくれ。黙って見ててくれ。
それが「大人の良識」ってもんだろう。

全てのボクサーが、判で押したようにお行儀良くしている必要はどこにもない。
新井田には、これからも「良識あるボクシングファン」の神経を逆撫でし続けて
ほしい(本人はそんなつもりもないのだろうが)。そうして、今は無理かもしれ
ないが、10年後、20年後に真の「天才」が現れるための土壌を育てよう。

それにしても、こういう世間から非難され、異端視されている人を応援したく
なるのは、僕の性分なのかもしれないな・・・。