ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

東洋太平洋S・バンタム級TM 國見泰央vs菅原雅兼

2005年02月20日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
「北陸地方初のチャンピオン」國見の2度目の防衛戦の相手は、
名古屋の菅原。スタイリッシュにまとまった好選手で、これが
初のタイトル挑戦となる。両者とも30歳。「負ければ引退」という
実況アナウンサーの言葉も、確かに大袈裟には聞こえない。
なおこの試合は、菅原のホームである名古屋で行われた。

國見というボクサーを初めて見たのだが、だいたい想像した通りの
選手だった。KO率(25戦して16勝6KO)が示すように
決定打はないものの、スタミナが豊富でタフ。接近戦でのボディ打ちが
得意のようだ。一言で言えば地味なファイター。

試合は、足を使いアウトボクシングをしようとする菅原に対し、
ガードを固めて中に入るチャンスを伺う國見、という展開で始まった。
序盤は菅原の動きが良い。國見はスロースターターなのか、菅原の
速いパンチをいくつか被弾してしまう。

しかし中盤あたりから國見がプレッシャーを強め、ボディを中心に
攻めると、菅原のパンチが当たる場面が減ってきた。徐々にスタミナも
切れてきたようで、1~2発打つとすぐにクリンチ。あまりに執拗に
クリンチするので、ついには減点されてしまったほどだ。菅原の試合は
何度も見ているが、スタミナが切れたところなど初めて見た。國見の
プレッシャーがそれほど強かったのか、あるいは初のタイトルマッチという
緊張感のせいだろうか。

確かに菅原のクリンチは見栄えが悪かったが、國見の方もそれを振りほどいて
打つこともせず、抱きつかれるまま。打開策を見出せないでいるようだ。
そうこうしている内に試合は終了。どちらの勝ちか分からない微妙な内容
だったが、その通り僅差の判定(2-1)で菅原が新チャンピオンになった。

國見の方は判定に不満そうだったが、特に不当なジャッジだったとは
思えない。今や地元判定の代名詞となってしまった「名古屋判定」は、
今回はなかったようだ。