ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

徳山、4度目の防衛戦

2002年03月20日 | その他
いよいよ今週の土曜(3/23)、WBCスーパー・フライ級タイトルマッチが
行われる。王者・徳山昌守の4度目の防衛戦。挑戦者は元日本&東洋太平洋王者、
世界ランク5位の柳光(りゅうこう)和博だ。

徳山がオーソドックス、柳光がサウスポーという違いはあるが、お互い
テクニシャンで、最近になって攻撃力もつけてきたという点は共通している。
それにしても、この試合の展開は予想しづらい。対戦する当の本人達ですら
「よく分からない」と言っているほどだ。

徳山は相手の出方によって戦い方を変えるボクサーである。だから相手に分かり
やすい特徴がある時は何となく予想も出来るが、今回の柳光もまた、相手の
持ち味を封じる老獪なタイプなのだ。どう出てくるか分からない。

アウトボクサー同士なので、序盤はジャブとフットワークを主体とした主導権争い
になりそうだ。そしてフェイントの掛け合いから、徐々に強いパンチを狙って
いく。こういった展開が続き、お互いディフェンスも良いため決定打を打ち込む
機会はそれほど訪れないような気がする。

奇しくも両者とも「KOで決まる」と予言しているが、実際にはそうならない
可能性の方が高い。つまりは一見地味な展開ながら、非常に緊張感のある技術戦に
なるのではないだろうか。

この試合、なぜか徳山の楽勝を予想する人が多いのだが、僕は必ずしもそうは
言い切れない、と思う。例えば一発いいパンチが入った時の詰めの鋭さは、
連打が出来るぶん柳光の方が上のような気もするし、29歳にして世界初挑戦の
柳光にしてみれば、このチャンスを逃したら次がない、という気持ちでなりふり
構わず勝ちに来るだろうからだ。

また、徳山の「サウスポーは嫌い」という発言も気になる。確かに今まで3度の
防衛中、2人のサウスポーを下してはいるが、その2人(名護明彦、ジェリー・
ペニャロサ)は、共に攻撃力が売りのタイプ。柳光のようなテクニシャンの
サウスポーは、やはり徳山にとってやりづらい相手だろう。

ここまで書いてきても、なお予想は難しい。テクニシャン同士らしくクリーンな
ファイトになるのか、あるいは逆にリズムがつかめず、血みどろの乱戦になる
のか。もちろんKO決着もないとは言えない。お互いKO率は低いが、徳山には
一発で試合を終わらせる右ストレート、柳光には右フックと連打がある。

まぁ結局は、当日を待つしかない。そして月並みだが、とにかくいい試合を
期待したい。両者の戦力には、巷で言われているほど差はないと僕は思っている。
と言うことは、何度も言うようにテクニシャン同士の一戦ではあるが、もしか
したらテクニックではなく「精神力」の勝負になるかもしれない。