121)街中の四合院

 10回ほど前に大同の住宅ラッシュについて書きました。新しい住居が建つと、レンガ建て平屋の伝統的な四合院(しごういん)はどうなるのでしょう。北京同様、取り壊されるものが少なくありません。でも、市の中心部の一角にも、しっかりと残っています。
 私たちの協力相手、緑色地球網絡大同事務所の武春珍所長が子供のころ住んでいた家をいっしょに探しました。30年前とは住所表示が変わってますし、幼時の記憶は目の高さがちがうため、あてにならないところがあります。
 清朝に建設された白塔寺院が目印になりました。小ぶりですが、なかなかきれい。観光資源になると同行者はいいますが、先立つ周辺整備は容易でないでしょう。狭い胡同(フートン)=路地に下水があふれ、悪臭プンプンです。
 目的の四合院がやっと見つかりました。以前から住みつづけているのは老婆1人で、あいにくと不在。ほかの住人はあとからきた人で、老人世帯と農村からでてきた人ばかり。もとは4~5世帯だったところに、いまは13世帯も住み、中庭にレンガの小屋が建ち、もとのトイレも人が住んでいるそう。用は外の公衆トイレでたし、夜はオマルを使います。悪臭がただようわけです。
 武春珍は「以前はずっと清潔でした。あのころの面影はありません」といいます。それは事実でしょう。取り残されたところに、しわ寄せがいくのは、どこの社会もいっしょです。
 【写真】四合院の中庭にも小屋ができ、もとのトイレまで人が住んでいる。
 (2006年11月15日号)
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