194話)秋の長雨

 大同のことしの雨の降り方は異常です。3~4月に雨が多く、17年ぶりだといわれました。その後6~8月に雨がなく、とくに北部の大同県あたりはことしも旱魃だったんですね。ところが9月になってから雨がふりだし、後半には毎日のようにふります。
 この時期の雨はあまりありがたいものではありません。農作物の生育はすでに終わっており、収穫作業のジャマになります。樹木にとってもいいことではありません。へたをすると、時期をまちがえてまた伸び、その部分は木質化していませんので、冬の寒さで害をうけます。
 白登苗圃のマツ苗のなかに、二度芽のでているものがかなりあります。マツは通常、春に一節だけ幹が伸びますが、春に伸びたあと、夏の旱魃でひと休みし、そのあとの雨でまた芽を吹いたのです。技術者の老馬は「いいことはなにもない」といって心配しています。私ははじめてみました。これも木質化がまにあいませんから、問題をおこす可能性があります。
 思い出すと、1995年が似たような年でした。春から7月20日まで雨がなく、その後、9月になってから15日間も休みなく降りました。農村の土づくりの住居がずいぶん倒壊したものです。その翌年、モンゴリマツに弱ったり枯れたりするものがでてきました。前年秋の長雨で生理に異常をきたしたというのが、そのときの判断でした。
 いいこともあります。1996年が大の豊作だったのです。ところがこの年も春には雨がありませんでした。前年秋の雨が土中に蓄えられ、冬のあいだは凍結してそのまま保存され、春に融けだして作物を育てたと思われます。それからもうひとつ、植林の整地作業も、雨のおかげでしやすいのです。
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