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193話)ポプラ並木

 1992年1月、はじめて私たちはこの道路を通って、大同から渾源へと向かいました。といっても、そのころといまとでは、光景がまったくちがいます。まずは鋪装がいまのようにりっぱなものではなかった。アスファルトやコンクリートを薄く張った鋪装を「テンプラ鋪装」などと茶化しますが、そのころは「から揚げ鋪装」。石炭を満載したトラックが走りますから、たちまち壊れます。低いところの塩害地は伏流水があり、道路の下に空洞をつくるので、とくにひどかった。私たちも降りて、動けなくなったバスを押したりしたものです。
 それ以上に目につく変化は道路わきの並木です。植えられたのは、1994年ごろだったでしょうか。いまはこんなに育って、この地方の緑化の進行をつよく印象づけています。
 この道路の左右には小葉楊といわれるポプラが、大面積に植えられています。水不足のために育たず、弱っているところをカミキリムシにやられて、満身創痍になりました。地元の人は小老樹と呼びます。
 でも道路わきのポプラ並木はよく育っています。まずは路面に降った雨も路側に流れます。降水量が400mmであったとしても、2倍以上の雨が降るのといっしょ。
 それから最近植えられているポプラの大部分は新疆ポプラです。乾燥に強く、幹がまっすぐで生育がよく、そのうえカミキリムシがつきにくいのです。いまこの地方の並木に大量に使われており、私たちの環境林センターでも毎年、育苗をつづけています。
 驚くことに、この並木の外側に幅40mにもわたって、新しくポプラが植えられました。道路近くの畑は肥料をたくさん入れて土が肥えた一等地です。どこにその必要があるのでしょうか。この道路は、大同から五台山をへて太原にいたる観光道路でもあります。ポプラのトンネルのなかを走ることになり、黄土高原の特色ある景色はみえなくなります。過ぎたるは及ばざるがごとし。
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