1351話)私がこどもではなくなったころ

 私がこどもではなくなったころ

 番外編のなかの番外です。私は18歳で家をでて東京にいき、学生寮に入りました。そして結局、寮にはずっといましたけど、教室にはゴールデンウイーク前までしかいかなかったのです。ですので、中退というのは学歴詐称で、ほんとは初退です。

ここまで読んできていただいて、こどものころ、食べるものにほとんどお金を使っていないことに気づかれたと思います。ほんとにそうだったのです。

朝食と夕食は学生寮の食堂で食べました。朝35円、夕65円でした。ですので、そうおいしいものを食べられるはずがありません。夜の何時かをすぎると、残食といって残っている食事をだれでも食べることができるのです。それに行列ができていました。

昼食はどうしていたかというと、インスタントラーメンにはずいぶんお世話になりました。それからまめな人がいて、自分で料理をつくっていましたので、木村隆さんにはずいぶんお世話になりました。鶏ガラを買ってきて、それをこまかく叩きつぶして、ほんとに肉であるかのように食べさせてもらったり。

でも、ときに外にでたりするでしょ。困ったのは、食堂に入るのを極度に躊躇したことです。本を買ったり、電車に乗ったり、そんなことにお金を使うのにとまどいはないのに、食べることにお金を使うのが、ほんとに怖かった。そのせいでもないでしょうけど、あのころは極度にやせていました。ウエスト66cm、体重は50㎏を切っていました。

つれあいといっしょに暮らすようになって、彼女は東京のサラリーマンの娘ですから、食べ物にお金をつかうのに遠慮はありません。ああ、ずいぶんとちがうな、と思ったものでした。
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