536話)焼けたマツ

采涼山プロジェクトのマツが伸びはじめ、見学者が訪れるモデル林になりました。そう書くと、万々歳のようなんですけど、樹木が育てば育ったで、心配事が絶えません。たとえば、これ! 

ことしの春のことです。山火事にあったのです。中国では4月5日ごろの清明節は先祖の墓に参る日です。古くからの習慣で、火をつかうんですね。町外れなんかで紙銭を売っているんですね。「冥国銀行券」などと書かれたあの世のお札です。それを煙にして先祖のところに届ける、というんですよ。

この時期、雨がなく、風が強いので、カラカラに乾燥しています。以前のように、山が丸裸なら、問題も少なかったでしょう。でもいまは、みんなが努力した結果、あちこちに緑が再生してきました。10年をかけて育てた木でも、こんな条件で火が出たら一瞬ですよ。

消防車なんかありません。あっても水がなかったら役にたちません。人の力で火を叩いて消すしかありません。よくこれだけでくい止めたものだと、私は感心しています。この山の入口には「厳禁上墳焼紙!」(墓参りで紙銭を焼くことを厳禁する!)と書かれた横断幕が張られ、その時期には郷や村の幹部がでて監視しているんですけど、それでも火事になっちゃうんですね。古くからの習慣が変わるのは容易なことではありません。
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