147)人は天に勝つ?

 新疆ウイグル自治区の烏魯木斉(ウルムチ)で、シンポジウムのあいまに砂漠化防止の現場見学が実施されました。ここでの主役も灌木の梭梭(ささぼく)。住民総出で3~4年かけて植えたそうですが、その広さがなんと3キロ×60キロ。
 もともとの草地を農場や牧場にしたところ、流動砂丘が出現し、なにもかも砂に飲み込まれ、近くの町まで砂漠が迫ったのだそう。ここでもやはり開発が砂漠化を招いたのです。
 梭梭は乾燥にきわめて強く、年間降水量150ミリほどのところでもよく育ちます。しかもここは冬に積雪があり、春先に苗を植えるさいも灌水の必要がないそう。おもしろいのは梭梭の根に寄生するホンオニク(肉〈くさかんむりに従〉蓉)。砂漠人参とも呼ばれる貴重な漢方薬ですが、乱獲がたたって絶滅が危惧されているそう。人工の梭梭林の拡大でこれが増え、その収入で管理費をまかなえるそうですから、いいですねえ。
 りっぱなビジターズセンターの一室で書道展を開催中でした。入選作のなかに「人定勝天」がありました。人は天に勝つ。ここで最初に農園や牧場を開いたときも同じスローガンがあったことでしょう。大同の農村でも「戦天闘地」といった表現をよくみます。こうした思想が生まれるのも、あまりにも環境が厳しいからでしょう。
 この視察、出発から帰着までまる12時間。よほど遠くまででかけたかと地図でたしかめると、市内から目と鼻の先でした。
【写真】広大な面積の緑化を住民総出で達成。自然と人のありようを深く考えさせられる。
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