480話)万里の長城

 大同市は、万里の長城をはさんで内蒙古自治区と接しています。緑化協力の途中でも、そこにいく機会があります。なかでも、陽高県の守口堡村は、なかなかの風景です。西のほうから稜線を貫いてきた長城が、ここで山裾におります。そして、東進し、天鎮県の李二口村でまた稜線に駆け上るのです。守口堡の長城を、陽高の八達嶺と呼ぶ、という話をきいたこともあります。

 いまは、黄土を突き固めた版築だけが残っています。往時はレンガが張られていたという話をきいたこともありますが、ほんとうかどうか、私にはわかりません。

 いちばん高いところに狼煙台があります。途中も最後もかなり危険で、日本だったら近寄ることすら禁止なんでしょうが、たいていの参加者がそこまで登っていました。「バカと煙は高いところにあがりたがる」というとおり、私もかならず登っていました。

 そして「ここに登れないようになったときが、私が退く潮時です」と言いつづけていたのです。60歳をすぎて、だんだんしんどくなってきていたんですね。ことしの4月はじめ、ここを訪れたとき、私は扁桃腺を腫らしていました。で、登らなかったんですよ。ところが、もうその前から、この狼煙台に登ることが上からのお達しで禁止されてしまったのです。私は、助けられたのでしょうか?
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