中国の内陸部での緑化協力にかかわる報告です。
続々・黄土高原レポート
号外12)草の根の技術

黄土高原における緑化の最大の目的は、豪雨による浸食から土壌を守ること。砂漠化防止にもなります。具体的には、山や黄土丘陵の高所にグリーンベルトを作ります。植えるのは主にマツ。2、3年生の小苗で、地上部は15センチしかありません。
地元の整地法は、苗に似合わぬ大土木工事です。丘陵の斜面に、等高線に沿って3メートル間隔の溝と土手をつくる。幅50センチ、深さ25センチの溝を掘り、その土で溝の下手に土手を築くわけです。マツの苗は翌年の春、溝の底に1メートル間隔で植えます。ですから1ヘクタールに3300本。
整地作業に、数百人の農民が、何週間もかけます。スコップだけの人海戦術で、いかにも大変そう。私たちは整地作業の簡素化を狙いました。成功すれば労力も費用も節約できます。いろいろ試しましたが、結果は、活着率の大幅低下。
なるほど、地元のやり方は合理的でした。溝と土手で区切ってあると、豪雨になっても雨水は小区画ごとに分断され、土壌浸食を起こしません。
整地作業を行うのは夏で、この時期は雨があり、降った雨は溝の底の地中に蓄えられます。秋冬になると、気温が下がって蒸発が抑えられ、やがて地中で凍って翌春までそのまま。春になって苗を植えるころにとけ出し、苗を育てます。
黄土高原は春に雨がなく、農民は「春の雨は油より基調だ」と言います。難しい条件での植林に、前年の雨を上手に利用しているわけで、まさに現場に即した草の根の技術です。
【写真】整地作業。スコップだけで、もくもくと作業をつづける。これによって活着率は格段によくなる。
地元の整地法は、苗に似合わぬ大土木工事です。丘陵の斜面に、等高線に沿って3メートル間隔の溝と土手をつくる。幅50センチ、深さ25センチの溝を掘り、その土で溝の下手に土手を築くわけです。マツの苗は翌年の春、溝の底に1メートル間隔で植えます。ですから1ヘクタールに3300本。
整地作業に、数百人の農民が、何週間もかけます。スコップだけの人海戦術で、いかにも大変そう。私たちは整地作業の簡素化を狙いました。成功すれば労力も費用も節約できます。いろいろ試しましたが、結果は、活着率の大幅低下。
なるほど、地元のやり方は合理的でした。溝と土手で区切ってあると、豪雨になっても雨水は小区画ごとに分断され、土壌浸食を起こしません。
整地作業を行うのは夏で、この時期は雨があり、降った雨は溝の底の地中に蓄えられます。秋冬になると、気温が下がって蒸発が抑えられ、やがて地中で凍って翌春までそのまま。春になって苗を植えるころにとけ出し、苗を育てます。
黄土高原は春に雨がなく、農民は「春の雨は油より基調だ」と言います。難しい条件での植林に、前年の雨を上手に利用しているわけで、まさに現場に即した草の根の技術です。
【写真】整地作業。スコップだけで、もくもくと作業をつづける。これによって活着率は格段によくなる。
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