はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

まよチキ!(9)

2011-10-16 15:56:09 | 小説
まよチキ!9 (MF文庫J)
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「まよチキ!(9)」あさのハジメ

 家が燃え、代わりの住み家ができるまでの間、涼月の家に居候することとなった坂町兄妹は、しかし流れ上涼月の家を追い出され、代わりに宇佐美マサムネと同居することとなった。
 相変わらず不器用で素直じゃない宇佐美との、ほんのりと気持ちが温かくなる、仮初めの家族のような生活は、主に宇佐美自身に変化を与えた。紅羽とも仲良くなり、人当たりも柔らかくなった。ぼっち生活が長かった彼女にとって、それはとても幸福な時間だった。
 だが、隣の部屋に涼月がスバルと共に越してきた瞬間に、つかの間の幸せは終わりを告げる。宇佐美とジローの同居がバレ、涼月とスバルが付き合っている(!?)ことが明るみに出て、対外的にも、それぞれの人間関係的にも嵐が訪れた。
 涼月にジローと恋人になってほしいスバル。
 スバルにジローと恋人になってほしい涼月。
 2人の思惑のずれが、ヤミ月さんの登場だったり、スバルがジローの告白を断ったり、などというような事態に繋がってしまった。そのずれはとどまるところを知らない。涼月の行動の突拍子のなさに拍車がかかり、スバルはジローと一緒にいてもつらそうな顔をするようになった。それを勘違いしたジローはスバルを自ら遠ざける……。
 そして宇佐美。前述したようにぼっち生活が長かった宇佐美が、大好きなジローとの、短いとはいえ家族ようなの温かみのある生活の味を知ってしまった。もう、一人暮らしの寂しさには耐えられそうにない。そして彼女はジローへの告白を決断する。スバルの目の前で……。

 とまあ、激しく動きのあった9巻だった。
「おまえら不器用すぎだろ」とか、「もっと考えて行動しろよ」とか思わなくもないのだけど、これくらいの年齢の恋愛なんてそんなもんだよね。自分しか見えなくなって、それがすべてだと思ってしまうものなんだよね。もっとあの時自分に理性があったなら、そんなことを思ったりもします。個人的に。しみじみ。
 結果的に、涼月スバルらの互いへの感情の隙をついた宇佐美が一気にリードした形となった。彼女の思い切りの良さと勇気は素直に賞賛したい。1か0かの大きな賭けに出たのがすごい。僕自身は宇佐美派なので、もちろん大歓迎。
 なんだけど、まあ無理だろうな……。絶対サブヒロインルートとかないよ……。スバルへの想いを捨てられずにいるジローがいきなり宇佐美とってわけにはいかないだろうし。
 ちょっと意外だったのは、作者の踏み込み方かな。もっとぬるぬるハーレムエンドに向かうのかと思ってたんだけど、ここまで動かしちゃったら、いきつくとこまでいくしかないのでは? 風雲急を告げるの10巻の発売が待ち遠しい。

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