はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

片思い

2009-06-02 17:29:33 | 小説
片想い (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋

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「片想い」東野圭吾

 かつて大学アメフト界でその名を馳せたクォーターバック・西脇哲朗は、10年経った今ではすっかりその世界から足を洗っていた。マネージャーだった妻・理沙子との間に子はなく、それがもとで冷えきった家庭ではあるけれど、スポーツ記事を書くフリーライターとしての毎日はそれなりに忙しく、余計なことなど考える暇もない。
 毎年恒例のアメフト部の同窓会の帰り道、哲朗は人混みの中に、やはりマネージャーだった日浦美月の姿を見かける。突然の再会を喜ぶ暇もあらばこそ、美月は驚くべき事実を告げる。なんと彼女は、性同一性障害で、今は男として暮らしていて、なおかつ殺人を犯して逃亡中だというのだ。
 理沙子には内緒だが、哲朗と美月はかつて男女の関係になったことがある。いろんな意味で驚く哲朗は、ともかくも美月を理沙子に引き合わせる。最初は呆然としていた理沙子もなんとか事実を受け入れ、さらに驚きの提案をする。自首させることなく美月を匿おうというのだが、果たしてそんなにもうまく事が運ぶものだろうか……。

 外れ知らずの東野圭吾。さすがに面白い。
 題材の斬新さはもちろん、元アメフト部の設定を生かした戦い方がビシッと決まっていてかっこいい。青春を引きずる、若者以上中年未満の彼らの有り様を逃げずに書ききる姿勢が好印象。ちょっと長いけどおすすめ。

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