星降り山荘の殺人 (講談社文庫)倉知 淳講談社このアイテムの詳細を見る |
「星降り山荘の殺人」倉知淳
広告会社勤めの杉下和夫は、後輩を守るために上司を突き飛ばしてしまい、失意のどん底にあった。尊敬する社長の下で働きたいので退職したくはないが、いたらいたでいづらい。さんざん去就を迷ったあげく、会社に残る決断をするのだが、やっぱりただでは済まなかった。会社の芸能部門に異動させられ、スターウォッチャーとかいう怪しげな肩書きの文化人タレント星園詩郎のつき人をさせられることに。
あまりにも畑違いな仕事に戸惑う暇もなく、いきなり埼玉秩父の山奥に旅行に行かされる杉下。聞けば、日本人離れした顔立ちと歯の浮くようなセリフで主婦層の支持の厚い星園が、彼をイメージキャラにしてキャンプ場を盛り上げようと画策する不動産会社の社長に招かれているのだという。
わかったようなわからないような気分で現地についた杉下を待っていたものは、うら寂れたキャンプ場と一面の雪。UFO研究家や売れっ子女流作家、ミーハー女子大生などなどの癖のある人物たち。
そして第一の殺人が起こる。電気も電話もなく、雪崩で下界との接点が絶たれた冬のキャンプ場を、血の赤が染めあげる……。
なんともベタな設定の、「閉ざされた山荘」もの。登場人物が変な人ばかりなのが売りといえばいえるのだけど、変ぶりもそこまで発揮されていなかった。どんでん返しは意外性があって面白かったが、それ以外はどこまでも地味。杉下と女流作家の秘書の恋は、まあぼちぼちだっただろうか。でも淡泊にすぎるかなあ。うーん。
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