はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

神様のパズル

2007-09-28 17:31:45 | 小説
 目を開けた先生は、僕を見上げ、「君、彼女はいる?」と、たずねた。
 思いがけない質問だったのでちょっと面食らったが、僕は「いいえ」と答えた。
 すると先生は微笑みながら、「紹介してあげましょうか」と言った……。

「神様のパズル」機本伸司
 
 留年寸前の僕こと綿貫は、現代物理学の初歩すら満足に理解してないダメ学生。卒業そして就職の迫った大事な時期に、何もわざわざ難関・鳩村ゼミを選ぶこともないだろうに、片思いの彼女・保積の尻を追う形で選択してしまった。しかし決めてしまったからにはやり抜くしかない。人生のかかった一年に全力を尽くすべく、ラブラブライフにちょっぴり期待もしつつ気合いを入れているところへ、鳩村教授からあるミッションを託される。スーパーIQの天才児・穂瑞の面倒を見てほしいという。
 穂瑞はいわゆる試験管ベイビーで、優良遺伝子のかけ合わせのもと誕生した人工の天才である。その行動は常に世間から注目され、是非の天秤にかけられた。科学数学の分野にずば抜けた才能を発揮し、飛び級で大学へ進学したまではよかったが、そこでつまずいてしまった。発想の閃きがないと切り捨てられ、以来あまり人前に姿を現さなくなった。ひきこもりとまではいわないまでも、キャンパスで見かけることはほとんどない。見た目は中学生みたいでかわいいが、気難しい変人ということで、大学側も取り扱いに苦慮している。
 後がない綿貫は、否やもなく穂瑞の家を訪ねることとなった。人格を見抜かれ弄ばれる最悪の出会いにもめげずに彼女の興味を外の世界に向けようと粘った結果、なんとか研究室へ連れ出すところまで成功する。しかし彼女はそこでとんでもないことを口走ったのだ……。
「宇宙の作り方」
 究極の疑問に取り組むことになったゼミ員は、綿貫と穂瑞、それ以外というチームに別れ、ディベート形式で研究することとなった。ディベートに負けたチームはこの件に関する一切の加点をしないというハードな条件のもとに。
 綿貫は、穂瑞にインスピレーションを与えるというおんぶにだっこな役割を仰せつかる。だが、お粗末な現代物理学の知識しか持ち合わせていないうえに、バイトや保積のことに頭の大部分を占拠されている彼ではその役割を果たせず、ディベートでも常に劣勢、いよいよ卒業もやばいという状況。だがある日、怪我の功名から穂瑞に神のささやきが降りてきて……。

 実体のない情報の塊をこねくり回し、ただひとり真理を見つめようとする孤高の存在。その後ろ姿を眺めることしかできない綿貫の立場のもどかしさがとても目新しい。寂しそうだかわいそうだと思っているのに、好きなわけじゃないからどうすることもできない。気がきいたセリフも浮かばないからうまく休ませてあげることもできない。見ていて本当にじれったかった。だけどそれだけにリアルだった。近づきすぎない二人の関係。それでいて徐々に深まる互いの理解。凡百のツンデレ小説に迎合しない距離感が素晴らしい。
 理論や薀蓄の比率は当然多い。多いが、ダメ学生・綿貫が穂瑞先生に聞くという形式をとったのが正解で、理解はしやすい。何より究極の疑問の吸引力が強く魅力的なので、最後までつまることなく一気に読んでしまった。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
人型玩具 (次世代女性玩具)
2007-10-01 04:52:46
21世紀の人型女性の玩具は之れです。今はネット内でのスタンダード!?昔に比べて欲が解消し易い善い時代になりました。11
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どんだけぇ~ww (ふぇらってGO♪)
2007-10-08 13:21:11
極うまふぇらにすとに出会ったょ♪しかもお小遣い付ってどんだけ~www91
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アムロィきます!!! (ェロアムロ)
2007-10-14 21:36:06
ガンオタの性処理は今や此れ!!!

http://87koala.net/q/9dDcF/
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