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世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者(1)

2012-03-01 15:16:13 | 小説
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者1 (講談社ラノベ文庫)
クリエーター情報なし
講談社


「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者(1)」榊一郎

 とある未来の日本国。富士の樹海の奥に発見された穴の向こうには、なんと異世界への扉が広がっていた。魔力に満ち、ドラゴンが空を飛び交うファンタジーワールドとの「交易」を独占しようと考えた日本政府は、偏見と差別はびこる封建社会を、自由と平等の名のもとに、文化で制圧しようと試みることに。そこで白羽の矢が立ったのが、日本が世界に誇る「オタク」文化だった。
 主人公の慎一は、好きだった幼馴染にオタクだからという理由でフラれた悲しい男。それがきっかけでニート道をひた走るが、とうとう両親の逆鱗に触れ、「勘当か進学か就職か」の選択を選ばされることに。そこで就職を選んだ慎一は、めぐりめぐって件のファンタジーワールドへ送り込まれる。夢にまで見た異世界で、政府の手先の総合エンターテインメント商社アミュテックの総支配人となった慎一は、そこで残酷な現実と、起こせるかもしれない奇跡の狭間で揺れ動くのだった……。

 オタク文化でファンタジー世界を侵略、というのはかなり珍しい試み。
 しかーし、言語の違いや識字率の差のせいで、この1巻ではぜんぜんオタク文化が出て来なかった。せいぜいハーフエルフメイドやロリ皇帝といったパーツパーツに慎一が反応するくらい。表現にアニメや漫画の単語が使われたりはするものの、それもどうにも古臭くてのれなかった(いまどきエヴァネタもガンダムネタも古いでしょう)。ロリ皇帝を膝に座らせてのファンタジー漫画の読み聞かせとか、広める前の手順としてはわかるものの、どうにも悠長すぎやしないか?
 キャラ的には、さっき挙げたハーフエルフメイドやロリ皇帝、リザードマンの使用人に切れ者の騎士といった、いかにもなテンプレキャラばかりなのだけど、それぞれがぞれぞれの立場から、異文化を学ぼうとする姿勢が興味深かった。
 慎一は、幼馴染とのトラウマから、ちょっとでも迫害されている人をバカにされるとキレるのだけど、それがストーリーにうまいことかみ合っていて良かった。なんの打算もなく感情のままに怒ることのできるキャラなので、考えてみりゃけっこう危ないのだけど、その危うさが良かった。
 でもなー、せっかく「念願の」異世界にきたんでしょ? もっといろいろ動き回ろうよ。ちょっと動きがなさすぎ。仕事ばっかりしてんなよ。どんなおとなしいやつだって、仕事の合間合間にいろいろ見て回るでしょーよ。そして、それは同時に僕らが見たい、追体験したいことでもあるんだからさ。
 とりあえず、2巻に期待。


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