信州旅行記(前回の記事)。今回は長野市の乗り物について。ほとんど乗ることはできなかったのですが。
これまでの少ない訪問経験から、長野県の公共交通事業者といえば、アルピコグループと長野電鉄の二大勢力の印象。
アルピコグループは、白さが際立つボディに「Highland Express」などと書かれた高速バスを新宿辺りでも見かける。鉄道事業を松本でやっているのでそちらメインのようだが、長野市周辺でも路線バスが「川中島バス」として走っている。現在は、川中島バスは愛称で、事業者名は「アルピコ交通(長野支社)」らしい。
長野電鉄は通称「ながでん」。長野市内を地下で抜ける須坂・湯田中までの鉄道路線があって、立派な特急列車も運行している。
バスは「長電バス」として分社。シンプルに「NAGADEN」と書かれた銀色の貸切バスを、竿燈まつりやJリーグの試合時に秋田市で見かけたことがある。
その長野電鉄と関係する人物が、総理大臣も務めた羽田孜(はたつとむ)。長野電鉄創業者の娘の息子(=孜氏の祖父が創業者)という関係だそう。
羽田孜氏は、政界入りする前に小田急電鉄で10年間勤務していた。長野電鉄では、特急用車両に小田急ロマンスカーの中古を入れていたことがあったのは、その縁だろうか。最近は、JR東日本の中古に変わったけれど。
その小田急にいた時、我らが秋田中央交通の渡辺社長も小田急で修行していて(わずか1年【27日訂正】2年)、同職していたとのこと。
さて、以前から気になっていたけれど乗ったことがなかった長野電鉄の鉄道に、長野駅から2駅目の権堂駅3駅目の善光寺下駅【26日訂正・勘違いでした】まで、わずかながら乗ってみた。
長野駅から初乗り運賃170円の範囲である3駅目の善光寺下駅までは、1981年に地下化された。
自動改札はなく、ICカードも使えない(バスでは使える)。どこか昭和の地下鉄駅のような雰囲気。
左は元小田急ロマンスカーの1000系「ゆけむり」
乗った普通列車は、おでこの広いステンレス電車(骨組みはステンレスでなく鋼製)。片側3扉、3両編成、ワンマン運転。2両編成のものもあるようだ。
営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線3000系を譲り受けた、3500系。他に東急の中古も使われている。
ドアの窓がほぼ正方形の小さいものだったり、内装が濃い黄色塗装だったりして、時代を感じるというか古くさい気がした。
1961~1971年製造だそうで、弘南鉄道などで使われる東急7000形よりは製造開始が少し先。その差を踏まえても、7000形のほうが先進的かな。
乗ったのは夕方で車内は立ち客が多く、かつ短時間の乗車で余裕がなく、あんまり感想がない初乗車でした。
別に撮影した権堂駅出入口
長野電鉄の地下区間は、長野大通りという大きな道路の下を進む。その途中の権堂駅はオフィス街、商店街がある街中。善光寺表参道からは数百メートルしか離れていないが、門前町の色は薄い。
駅を出てすぐイトーヨーカドー長野店(1978年開店)があるが、その建物は、
「長電権堂ビル」
大通りの向かい側に長野電鉄の本社もある。
以下、乗らなかったバス。
イメージでは、長野市内は川中島バスより長電バスのほうが多そうな気がしていたけれど、駅前のバス乗り場の割り振りなどを見ると、どうやら川中島バスのほうが優勢。7対3くらい???
長野市には、すべての路線バスで共通で使えるIC乗車券「KURURU(くるる)」がある。郊外のコミュニティバスや乗合タクシーでも利用でき、高齢者が低額(定額ではない)で乗るための専用カードもある。ただし、長野電鉄の鉄道では使えないし、Suicaなどとの相互利用もできない。
行かなかったが、長野バスターミナルというのが、長野駅から数百メートルのところにあるのだそう。
第3セクターが運営していて両事業者とも乗り入れるが、ほとんどの路線が長野駅前にも乗り入れている。
長電バスの中型路線バス
ヘッドライトが2灯×2でいすゞエルガミオかと思いきや、「HINO」とあるので共通車種のレインボー2の初期タイプ。2007年製、ワンステップ。
クリーム色とエンジ色のシンプルな塗装。国鉄の特急列車や飯山線の観光列車「おいこっと(後日紹介)」と同じような色使い。
ドアガラスに「自動扉」と表示がある。
昭和最末期頃までは表示が義務付けられていたが、現在は表示しなくてもいい。全国的に今なおこだわって表示を続ける事業者がいくつかあるが、長電もそのようだ。
長電バスの車両は日野と三菱が多いそうだ。ちなみに、(三菱ふそうでなく)三菱自動車の地元ディーラーは、ながでんグループの企業。
以上、長電は秋田中央交通よりは“小田急色”が薄く思われた。
川中島バスの大型バス
このいすゞLVキュービックは、国際興業の中古とのこと。
こちらは4メーカーとも導入しているそうだ。昔は日野が多かったような気がする。
路線バスでは車体に「Highland Shuttle」表記。普通は黒いヘッドライトの枠まで白く塗るのは、昔の日野製でも同じだった。(最近は黒枠もあるらしい)
行き先表示に注目。
「すみません回送中です Sorry Out of Service」
ここ10年くらいだろうか。全国で散発的にこんなふうに「回送時に謝る」バス会社が存在する。八戸の南部バス辺りが早くから導入。
待っている客に対しての、せめてもの気持ちということのようだ。
川中島バスでは、LED式行き先表示器導入当初から、季節に応じて回送時に「merry Xmas」「謹賀新年」と遊び心のある表示(しかもサンタクロースの帽子の絵や毛筆書体などの凝ったデザイン)を出して楽しませてくれている。※他社ではこんな使い方も
長電のバス停
路上のバス停を撮影したつもりだったが、「長野駅9番のりば」とある。
駅敷地内の乗り場は機能的かつ安全に配置されていた一方で、そこだけでは乗り場が収まらず、路上に分散設置していることになる。各地で見られるけど、不慣れな人には分かりにくい。
そのバス停の車道側に、こんな表示が。
「アイドリングストップ スイッチ確認!」「千石入口まで一分運転」
位置と内容からして、運転士向けのようだ。
「千石入口」はこの次のバス停らしく、通過時刻を厳守させようとしているのだろうか。
前回取り上げた通り、長野駅と善光寺の間は、歩くこともできる距離だが、150円の路線バスが頻発している。
一般路線バスも多いが、駅とお寺を往復する専用シャトルバスもある。1999年から川中島バスが運行している「びんずる号」。名称の由来は善光寺に祀られる「おびんずるさん」。
赤、緑、紫、茶4色の専用車両がある。
赤。日野レインボーのワンステップ
このデザインの意図は何なんだろう。どちらかといえば洋風な印象もするような…
長野市でも、中心市街地循環バスが運行されている。長電、川中島両社に運行委託。
2000年に運行が開始され「ぐるりん号」と命名。「子どもでも覚えられる愛称で、循環=「ぐるっと回る」イメージからつけられました。」そうだ。ICカード「KURURU」に似た命名だが、ぐるりん号のほうが先。意識したネーミングだろうか。
その後、郊外部でも「地域名+ぐるりん号」が運行されている。
中心市街地のぐるりん号は、150円均一。善光寺への行き来にも利用できる。
単純な環状ではなく、長野駅→(長野大通り)→善光寺→(表参道)→長野駅→(表参道)→善光寺→(県庁通り)→長野駅という、「B」の字のような経路で、片方向のみ。8時台から19時台まで15分間隔で運行。
ぐるりん号
すべて専用塗装の小型バス日野ポンチョで運行されていた。水色ベースで善光寺、桜、北アルプス、リンゴなどがデザインされる。ミラーの裏にも葉っぱとリンゴが描かれる。
運転士は女性が多いようだ。
こんな車も
「電動ぐるりん号」とあり、EVバス。
「ひととまちにやさしい電動バス」
車体デザインは共通のようだが、正面のハトが差し込みプラグのコードに留まっている。
この13-50の仕様は不明だが、ぐるりん号では、2011年から2014年まで早稲田大学が開発した、線を接続しなくても充電できる非接触充電式バスの実証運行を行っていたそうだ。
13-50も非接触式充電だとすれば、プラグがなくても充電できてしまう。
長野県庁のある側には、信州大学教育学部(善光寺のすぐ横)などもあり、また違った街の風景が広がっていそう。ぐるりん号に乗って少しのぞいてみれば良かった…
旅行記は続きます。次は長野市のスーパーについて。※松本市のバスについてはこちらで少々。
これまでの少ない訪問経験から、長野県の公共交通事業者といえば、アルピコグループと長野電鉄の二大勢力の印象。
アルピコグループは、白さが際立つボディに「Highland Express」などと書かれた高速バスを新宿辺りでも見かける。鉄道事業を松本でやっているのでそちらメインのようだが、長野市周辺でも路線バスが「川中島バス」として走っている。現在は、川中島バスは愛称で、事業者名は「アルピコ交通(長野支社)」らしい。
長野電鉄は通称「ながでん」。長野市内を地下で抜ける須坂・湯田中までの鉄道路線があって、立派な特急列車も運行している。
バスは「長電バス」として分社。シンプルに「NAGADEN」と書かれた銀色の貸切バスを、竿燈まつりやJリーグの試合時に秋田市で見かけたことがある。
その長野電鉄と関係する人物が、総理大臣も務めた羽田孜(はたつとむ)。長野電鉄創業者の娘の息子(=孜氏の祖父が創業者)という関係だそう。
羽田孜氏は、政界入りする前に小田急電鉄で10年間勤務していた。長野電鉄では、特急用車両に小田急ロマンスカーの中古を入れていたことがあったのは、その縁だろうか。最近は、JR東日本の中古に変わったけれど。
その小田急にいた時、我らが秋田中央交通の渡辺社長も小田急で修行していて(わずか
さて、以前から気になっていたけれど乗ったことがなかった長野電鉄の鉄道に、長野駅から
長野駅から初乗り運賃170円の範囲である3駅目の善光寺下駅までは、1981年に地下化された。
自動改札はなく、ICカードも使えない(バスでは使える)。どこか昭和の地下鉄駅のような雰囲気。
左は元小田急ロマンスカーの1000系「ゆけむり」
乗った普通列車は、おでこの広いステンレス電車(骨組みはステンレスでなく鋼製)。片側3扉、3両編成、ワンマン運転。2両編成のものもあるようだ。
営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線3000系を譲り受けた、3500系。他に東急の中古も使われている。
ドアの窓がほぼ正方形の小さいものだったり、内装が濃い黄色塗装だったりして、時代を感じるというか古くさい気がした。
1961~1971年製造だそうで、弘南鉄道などで使われる東急7000形よりは製造開始が少し先。その差を踏まえても、7000形のほうが先進的かな。
乗ったのは夕方で車内は立ち客が多く、かつ短時間の乗車で余裕がなく、あんまり感想がない初乗車でした。
別に撮影した権堂駅出入口
長野電鉄の地下区間は、長野大通りという大きな道路の下を進む。その途中の権堂駅はオフィス街、商店街がある街中。善光寺表参道からは数百メートルしか離れていないが、門前町の色は薄い。
駅を出てすぐイトーヨーカドー長野店(1978年開店)があるが、その建物は、
「長電権堂ビル」
大通りの向かい側に長野電鉄の本社もある。
以下、乗らなかったバス。
イメージでは、長野市内は川中島バスより長電バスのほうが多そうな気がしていたけれど、駅前のバス乗り場の割り振りなどを見ると、どうやら川中島バスのほうが優勢。7対3くらい???
長野市には、すべての路線バスで共通で使えるIC乗車券「KURURU(くるる)」がある。郊外のコミュニティバスや乗合タクシーでも利用でき、高齢者が低額(定額ではない)で乗るための専用カードもある。ただし、長野電鉄の鉄道では使えないし、Suicaなどとの相互利用もできない。
行かなかったが、長野バスターミナルというのが、長野駅から数百メートルのところにあるのだそう。
第3セクターが運営していて両事業者とも乗り入れるが、ほとんどの路線が長野駅前にも乗り入れている。
長電バスの中型路線バス
ヘッドライトが2灯×2でいすゞエルガミオかと思いきや、「HINO」とあるので共通車種のレインボー2の初期タイプ。2007年製、ワンステップ。
クリーム色とエンジ色のシンプルな塗装。国鉄の特急列車や飯山線の観光列車「おいこっと(後日紹介)」と同じような色使い。
ドアガラスに「自動扉」と表示がある。
昭和最末期頃までは表示が義務付けられていたが、現在は表示しなくてもいい。全国的に今なおこだわって表示を続ける事業者がいくつかあるが、長電もそのようだ。
長電バスの車両は日野と三菱が多いそうだ。ちなみに、(三菱ふそうでなく)三菱自動車の地元ディーラーは、ながでんグループの企業。
以上、長電は秋田中央交通よりは“小田急色”が薄く思われた。
川中島バスの大型バス
このいすゞLVキュービックは、国際興業の中古とのこと。
こちらは4メーカーとも導入しているそうだ。昔は日野が多かったような気がする。
路線バスでは車体に「Highland Shuttle」表記。普通は黒いヘッドライトの枠まで白く塗るのは、昔の日野製でも同じだった。(最近は黒枠もあるらしい)
行き先表示に注目。
「すみません回送中です Sorry Out of Service」
ここ10年くらいだろうか。全国で散発的にこんなふうに「回送時に謝る」バス会社が存在する。八戸の南部バス辺りが早くから導入。
待っている客に対しての、せめてもの気持ちということのようだ。
川中島バスでは、LED式行き先表示器導入当初から、季節に応じて回送時に「merry Xmas」「謹賀新年」と遊び心のある表示(しかもサンタクロースの帽子の絵や毛筆書体などの凝ったデザイン)を出して楽しませてくれている。※他社ではこんな使い方も
秋田の某社ではやってない。「バス停名称変更を告知しなくてすみません」とか、他にもっと謝るべきことがありそうですが… それ以前に、輝度がおかしかったり、ドット欠けが発生している表示器を修理してほしい。
長電のバス停
路上のバス停を撮影したつもりだったが、「長野駅9番のりば」とある。
駅敷地内の乗り場は機能的かつ安全に配置されていた一方で、そこだけでは乗り場が収まらず、路上に分散設置していることになる。各地で見られるけど、不慣れな人には分かりにくい。
そのバス停の車道側に、こんな表示が。
「アイドリングストップ スイッチ確認!」「千石入口まで一分運転」
位置と内容からして、運転士向けのようだ。
「千石入口」はこの次のバス停らしく、通過時刻を厳守させようとしているのだろうか。
前回取り上げた通り、長野駅と善光寺の間は、歩くこともできる距離だが、150円の路線バスが頻発している。
一般路線バスも多いが、駅とお寺を往復する専用シャトルバスもある。1999年から川中島バスが運行している「びんずる号」。名称の由来は善光寺に祀られる「おびんずるさん」。
赤、緑、紫、茶4色の専用車両がある。
赤。日野レインボーのワンステップ
このデザインの意図は何なんだろう。どちらかといえば洋風な印象もするような…
長野市でも、中心市街地循環バスが運行されている。長電、川中島両社に運行委託。
2000年に運行が開始され「ぐるりん号」と命名。「子どもでも覚えられる愛称で、循環=「ぐるっと回る」イメージからつけられました。」そうだ。ICカード「KURURU」に似た命名だが、ぐるりん号のほうが先。意識したネーミングだろうか。
その後、郊外部でも「地域名+ぐるりん号」が運行されている。
中心市街地のぐるりん号は、150円均一。善光寺への行き来にも利用できる。
単純な環状ではなく、長野駅→(長野大通り)→善光寺→(表参道)→長野駅→(表参道)→善光寺→(県庁通り)→長野駅という、「B」の字のような経路で、片方向のみ。8時台から19時台まで15分間隔で運行。
ぐるりん号
すべて専用塗装の小型バス日野ポンチョで運行されていた。水色ベースで善光寺、桜、北アルプス、リンゴなどがデザインされる。ミラーの裏にも葉っぱとリンゴが描かれる。
運転士は女性が多いようだ。
こんな車も
「電動ぐるりん号」とあり、EVバス。
「ひととまちにやさしい電動バス」
車体デザインは共通のようだが、正面のハトが差し込みプラグのコードに留まっている。
この13-50の仕様は不明だが、ぐるりん号では、2011年から2014年まで早稲田大学が開発した、線を接続しなくても充電できる非接触充電式バスの実証運行を行っていたそうだ。
13-50も非接触式充電だとすれば、プラグがなくても充電できてしまう。
我が秋田市でも、水色の車体で「ぐるる」という、ぐるりん号にどこか似た市街地循環バスが走っているが、運行開始はずっと後(長野のカードKURURUよりも、命名は後)だし、本数なども及ばない。
しかも、秋田県はEVバス(非接触式も視野に入れてはいたようだが、今のところ有線充電)を営業運行するとか言いながら、開店休業状態(客を乗せずに走ってはいる)。
しかも、秋田県はEVバス(非接触式も視野に入れてはいたようだが、今のところ有線充電)を営業運行するとか言いながら、開店休業状態(客を乗せずに走ってはいる)。
長野県庁のある側には、信州大学教育学部(善光寺のすぐ横)などもあり、また違った街の風景が広がっていそう。ぐるりん号に乗って少しのぞいてみれば良かった…
旅行記は続きます。次は長野市のスーパーについて。※松本市のバスについてはこちらで少々。