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しらゆき~上越妙高

2016-06-06 00:05:21 | 旅行記
長岡を後に信州へ。
繰り返しになるが、今回の行きは、日本海側を直江津(なおえつ)まで進んで内陸へ入る、秋田-長野方面の最短ルート。
このルートで新潟・長岡から先は、昨年春の北陸新幹線金沢開業前までは、信越本線1本(乗り換えは必要)だったが、新幹線開業後は、直江津から先の並行在来線が第3セクター化されている。
今回のルート(Googleマップに加筆)
今回は、信越本線(地図中の赤)~えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン(緑)で上越妙高へ。乗り換えて2駅だけ北陸新幹線(青)に乗車して長野へ向かう。

新潟-上越妙高方面を結ぶ、JR-トキめき鉄道直通の特急が1日5往復運行されている。
かつては、直江津から北陸本線に入って金沢まで行っていた「北越」があったが、代わりに直江津から内陸へ入るようになった形。
その名は「しらゆき」。
以前触れた(この記事後半)ように、かつては青森-福井の急行列車、後に秋田-大館の快速列車に使われた名前で、この3代目にして特急に成り上がったことになる。3代とも日本海側の列車であり、雪国にふさわしい名称で、親しみを覚える。

乗車したのは、上り最初の2号。
新潟を7時37分に出て、長岡は8時27分着。上越新幹線なら20分ちょっとで着く区間だから、やっぱり新幹線は速い。
特急「しらゆき」ヘッドマークは空白
しらゆきの車両は、E653系電車。
「いなほ」と同型だが、塗装が違い、短い4両編成で普通車のみ。

「フレッシュひたち」だった頃のE653系は、7両1組の「基本編成」と4両1組の「付属編成」があり(設備は同じ)、それらを組み合わせて運行していた。
新潟転属後は、元基本編成はグリーン車を作っていなほ用(一部、付属編成を組み替えて入れた車もあるとのこと)、元付属編成はしらゆき用と、完全に分離されている。

しらゆきの塗装は、白地に青と赤のライン。
いなほと比べると控えめなデザインで、E2系新幹線(元あさま・現上越新幹線)と似ている。
白は「しらゆき」からの連想、青は日本海と空、赤は夕日をモチーフにしているということらしい。
それだけでなく、1988~1997年に金沢-長岡で「北越」の速達版として運転されていた特急「かがやき」用の485系電車の塗装(米原-金沢の「きらめき」も同じ車両)とほぼ同じ。赤と青の色味が違うようだが、このことも念頭に置いた塗装だろう。

このしらゆきは「新井(あらい)」駅行き。
5往復中3往復は、新幹線駅である上越市の上越妙高駅発着だが、2往復は2駅先の妙高市の新井駅まで行っている。よそ者にはピンと来ない行き先で分かりにくい。
E653系やE751系の側面のLED表示は、独特。日本語の列車名がカギカッコに入っていたり、英字の行き先の頭文字の書体が独特だったりして。
 「Akita」の「A」もこれ

「北越」当時、自由席でこの区間に乗った時は、新潟県内での利用がとても多かった。
「しらゆき」は自由席・指定席2両ずつで、北越時代より減っている。しかも途中駅からの乗車だから、指定席を取っておいた。
新潟駅の線路配置の関係上、「いなほ」とは逆向きになるため、海側の窓際は「D」席。

長岡からは、自由席、指定席ともけっこう乗車。
乗り込んでみると、指定席には既にそこそこ乗車しており、1~2列につき1組座っているような状態になった。自由席の様子は知らないけれど、指定を取っておくのが無難かもしれない。
上越妙高で北陸新幹線に乗り継ぐと、しらゆきのJR区間の特急料金が半額になる乗継割引が適用されるから、指定席料金もさほど負担ではないし。※えきねっとでは、JRとトキめき鉄道の上越妙高駅が別の駅として登録されているが、それでも適用される。


車内は、座席の布地以外はいなほ用と同一。
こんな柄
こちらは赤系統で市松模様というか柄違いの正方形がパッチワーク状に並ぶもの。
JRの発表では、温かみを表現し、北陸新幹線の座席と近いデザインにすることで連続性を持たせている意図があるという。
いなほの布地は、小千谷縮をモチーフにしているとのことだったが、こちらではそのような表記はなさそう。むしろこっちのほうがそれっぽい気がしなくもない(本当の小千谷縮を知らないので、雰囲気として)。小千谷市は長岡の隣だから、いなほよりはしらゆきのほうが近い(沿線ではない)し。

いなほ同様チケットホルダーも設けられているが、車掌は端末でチェックしていて、(少なくとも指定席では)用なし。


この区間は、何度か乗っている。高校の修学旅行の「白鳥」、電車寝台急行「きたぐに」、「北越」などで。印象としては海沿いの区間が続き車窓は楽しめるものの、少々冗長なイメージもあった。
ところが今回は、長岡から直江津までは55分。停車駅は柏崎と柿崎だけ。以前は金沢から新潟などもっと長距離で乗っていたので、まとめて長くとらえてしまっていたようだ。

長岡を出て20分ほどの柏崎からは海沿い。
天気は回復傾向

ハマナスの花が咲き始めていた
海に近い駅として有名な青海川(おうみがわ)を通過。中越地震被災後の工事のせいか、構造物があって車窓からはそれほど眺めがいいわけでもない。

風景は別として、乗り心地・座り心地は「いなほ」と違うわけもなく、車内販売もなく、淡々と移動した感じで、あっけなく直江津到着。
ここまで3駅では、指定席から降りた人はほとんどいなかった。県内の移動は自由席なんでしょう。

直江津からは、えちごトキめき鉄道に入る。残り上越妙高まで15分、終点の新井まで20分ほどだが、運転士・車掌とも、同社社員に交替。
途中、高田に停車。
直江津と高田は元は別の町で、現在は合併して上越市。かつては、土崎と秋田みたいな港町と城下町の関係だったのだろう。
高田は、桜やハスが見事だそう。車窓からは城下町っぽい趣きの町並みもちらりと見えた。いつか訪れたい。

すぐに上越妙高到着。乗客はほぼ全員が下車。
終点じゃないので、もたもたしていると降り損ねそう。時刻表上の停車時間は1分未満。
 えちごトキめき鉄道の駅名標
上越妙高駅は、新幹線開業前は「脇野田」という小さな駅(無人ではなかった)だった。

駅の位置は新幹線開業時に少し動いたらしく、見かけは新しくできた駅同然。
在来線ホームは、1面2線の構造や広さ(狭さ)が新青森駅によく似ている。
在来線ホーム橋上駅舎から南方向

西口駅前。ここも消雪のサビで路面が盛大に茶色い
在来線は西側にある。駅は東西に出入り口があるが、東口側のほうが古くからの住宅地らしく、西口側は開発途中。奥に田園と山が広がる。

最近の新幹線駅は、3セク並行在来線と新幹線の連絡改札口がなく、いったん外へ出ないといけない構造のところがある。
上越妙高もそうだった。
自由通路。左奥から右へ入ると新幹線。右手前が在来線
※下がっている旗は、モグラと新幹線をくっつけた「上越妙高駅お出迎えキャラクター『ウェルモ』」。

自動改札がない改札口から自由通路へ出て、右方向がすぐ新幹線改札口(少し奥まっている)。移動距離は大したことはないが、だからこそ連絡改札があってもいいのに。仮にも乗継割引が適用される連絡特急「しらゆき」があるのに。

接続する新幹線との待ち時間もあまり考慮されていない。
しらゆき2号からは、下り金沢方面が19分、上り長野・東京方面に至っては46分もある。
しらゆきから乗り継ぐ客の大部分は、下り方面の利用のようだ、すぐに新幹線改札へぞろぞろと入っていった。(上り方面は、僕のような長野へ行く人しか乗り換えないだろう。高崎や東京なら上越新幹線に乗ればいいのだから)
それだけ、新潟対北陸の移動の需要があることになる。「北越」時代よりは少し早く移動できるのだろうが、乗り換えの手間と費用はかかる。利用するみなさんは、新幹線開業をどうとらえているだろうか。

まだ新しい上越妙高駅を少しだけ拝見。
自由通路新幹線側の東口は、突き当りが吹き抜けの高い丸天井。
1階から
越後杉を使用したエントランスホール「もてなしドーム」。
1階と2階を結ぶエスカレーターは、途中に踊り場があって、乗り換えないといけない。
東口駅舎。奥の出っ張ったところがもてなしドーム。外観はさほど…
「馬上謙信公像」があった。
上記の通り、こちらのほうが古くからの町のようだけど、多くの新しい新幹線駅同様、目立った商業施設などはない。

自由通路の西口側は、妙高の山並みが望めるガラス張りだけど、この日は見えず。
西口側。在来線と新幹線が上下に並行
【2018年11月17日追記】その後、2018年11月に西口駅前に天然温泉の日帰り入浴施設「釜ぶたの湯」がオープンした。420円と手頃で22時半まで営業するなど、旅行者も何かと使えそう。

自由通路沿いには、「SAKURAプラザ」という観光案内、待合、軽飲食、土産物販売の場所があり、直江津駅の業者の駅弁も販売。
新幹線改札前には、コンビニNEWDAYSも。


新幹線改札内は、シンプルな造り。
北陸新幹線には新潟県内に駅が2つある。もう1つは糸魚川駅でJR西日本管轄。JR東日本新潟支社にとっては、飛び地のように上越妙高を管轄している。
ホームは全面が屋根で覆われ、ホームドアがある。白系統が多用されて明るいけれど、やはりシンプル。発車標は改札内外とも、3色LEDでフルカラーではない。

ホームは4本あって、内側2本は通過線として機能。
「かがやき」が高速で通過(接近予告放送あり)

長野新幹線には乗ったことがあったが、金沢開業区間を乗るのは初めて。E7/W7系に乗るのも初めて。
同じ車両で、JR東日本所有がE7系、西日本所有がW7系。
北海道新幹線のE5/H5系と同じ関係だが、あちらは帯の色が違うので区別しやすい。こっちはどこで見分ければいいのか分からず、短い停車時間と乗車時間だったので形式表示を見るのも面倒で、結局乗ったのがどっちか分からずじまいだった。
【2017年7月9日追記】コメント欄の通り、E7系とW7系では、車内放送のチャイムの曲が異なるそうだ。この時は上越新幹線や従来の長野新幹線と同じ曲だったので、E7系だったことになる。

12両編成で自由席は4両。予想通り、自由席はガラガラ。
E7/W7系車内
座席は落ち着いた赤系統。たしかに「しらゆき」と似ている。
通路が赤茶色系なのが、これまでの新幹線にはないかも。天井の吹き出し口や凹凸が目立たず、ほぼフラットなのも珍しく、すっきりしていていい。

枕が上下する座席はE5系に似ている。座り心地も似ているが、E5系よりはホールド感があってぺらぺらしていない気がして、悪くないと思う。
E5系では窓際の壁だけだったコンセントが、中央と通路側席にも設置(前の座席下)されたり、肩の把手(とって)部分に席番号の点字が打たれるなど、細かな点が改善されている。

運転士と車掌は、長野まではJR西日本が担当するそうだ。
自動放送は東日本各新幹線と同じ。チャイムは上越・長野新幹線と同じ、日本語は堺さん。

【6日追記】座席前の網袋に入る車内誌は、従来からのJR東日本の「トランヴェール」に加えて、西日本の「西Navi北陸」と2冊。西Naviのほうが前で、トランヴェールは隠れている。なお、北海道新幹線では、コストや手間からJR北海道の車内誌設置は見送ったそうで、対照的。

上越妙高から長野までは、わずか23分。
地図を見るとけっこうな距離。盛岡-八戸-新青森などでも感じたけれど、やっぱり新幹線は速い。
途中、飯山に停車。在来線では、信越本線ではなく飯山線の駅で、長野からは50分ほどかかる。飯山線については、帰り道にて。
新しい新幹線開業区間だからトンネルが多いものの、思ったよりは地上区間もある。田園や山々の緑が映える。

落ち着く間もなく、長野到着。
すぐ発車かとあわてて降りてしまったが、12分も停車。
後からくる「かがやき」を先に通す、つまり以前の東北新幹線仙台駅と同様の緩急接続が取られていた。


長野県を訪れるのは、おそらく5回目で、実に9年ぶり。
以前は、いずれも太平洋側からのアクセスだった(かつては特急料金込みのフリーきっぷがあったから、それを利用したことが多かった)。日本海側から長野入りすることになるとは、予想しなかった。
次回以降、やっと長野県の旅行記が続きます
コメント (6)
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