治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

難聴と聴覚過敏

2018-04-12 09:29:52 | 日記
本日の「半分青い」は主人公が聴覚を失う→診断→両親による告知→家族が合理的配慮を覚え始める

という重い場面でしたが、いくつもの示唆がありました。

まず難聴について。
聴覚過敏と難聴は一般的なイメージでは真逆かもしれませんね。聴覚過敏の人と「耳の良さ」って紙一重だし。でもどっちも聴覚に困難を抱えているということは同じで、今度の本もそういう方面から聴覚過敏を治すためのアプローチを提言しています。今日ドラマ中に出てきた医者の説明はヒントになりました。

ひとつは三半規管にも障害が出ている可能性を示唆していること。三半規管の障害といえば前庭覚。前庭覚といえば自閉っ子たちがうまく認識できないのはもはや常識になっていますよね。

そしてあのドラマ中のお医者さんは、聴覚を失うことによって気配にも敏感になっていくことを示唆していました。気配に敏感といえば自閉っ子ですよね。それがメンタルにも影響しているし、不登校等の原因にもなっているはずです。つまり、聴覚の過敏さ(聴覚困難)が治ると全体的な過敏さが取れてくるしそれはまた逆も言えるということ。まさに芋づる式に治っていくのです。

深刻な告知の話中、テレビをつけようとした弟をおじいさんがたしなめます。医師から言われたことが家族の大人には共有され、合理的配慮が始まっていることがわかります。

そして告知された主人公が言う「治るの?」という言葉。
ここで出るのは断然「治る」という言葉であり、間違ってもカンカイとか改善とかではない。方言を使っているのは自分たちの方だとギョーカイは知っておくべきです。
この場面で使われる普通の日本語は「治る」なんです。

今度の本を読めば、なんだ感覚過敏はこんなカンタンに治るんだ、と思う人もいれば、難しい、と思う人もいるでしょう。わりと理論に多くのページを割いていますが、なぜかというと皆さんに「原則」を引っ張り出してもらいたいからです。だから身体の仕組みに関して詳しく(けれども効率よく)書いています。

これ一冊ですむようになっているはずですが、もちろん多くの花風社クラスタの皆様のように、これまでの栗本さんの本、すなわち黄色本こと『自閉っ子の心身をラクにしよう!』、芋本こと『芋づる式に治そう!』、そして根っ子本こと『人間脳の根っ子を育てる』は読んだ方がいいですね。

そしてさらに、『人間脳を育てる』も読んだ方がいいです。

そしてさらにさらに、できれば感覚統合も知っておいた方がより深く理解できるでしょう。
ただ牛乳パック系の感覚統合の本ではダメ。牛乳パック系っていうのは、how toだけ示している大判のイラストの多い本のことです。感覚あそびがどうのこうの、という。あれは安直ではありますがあくまでマニュアル対応であり「大原則」を引っ張り出して目の前にいる子に応用するのにはまったく内容が足りません。

木村順先生の本を率直にオススメしないのはそこにあります。ちゃんとした本と牛乳パック系の本が入り交じっているから著者買いは無謀です。

そういう意味で岩永先生は貴重です。岩永先生の本なら、東京書籍で出ている難しい本でもいいですし、うちの本なら『もっと笑顔が見たいから』と『続自閉っ子、こういう風にできてます!』を推薦いたします。

とたらたら並べると「他にも読めというのか!」と息巻く方が必ずおられるわけですが

私としては、なんで一生の問題をそんな安直に済ませたいのかさっぱりわからないのです。誰だって人生の中で問題に突き当たり、そのときには本を読んだり人に話をきいたりどこかに脚を運んだり仲間と話し合ったりする。その効率のいい道筋をわざわざ教えてあげているのに息巻く。それはもう、努力をしたくないというか、そもそも「何かを成し遂げる人の努力の仕方を知らないがゆえに自分も努力したつもりになっているだけ」と言えるでしょう。

別に栗本さんの本も灰谷さんの本も感覚統合の本も読まなくたって今度の本はわかると思いますよ。でも読んでおいた方がよけい深くわかるだろう、と言っているだけです。

少なくとも私はここにあげた本たちを全部読んだので、今日の「半分青い」でドラマの中の医師が言っていることが理解できた、そして難聴と聴覚過敏がつながった、聴覚過敏と前庭覚までつながった、ということ。

私はそういう仕事だからこういう情報の取り方をしています。そういう仕事じゃない人はもっと安直に知りたいのかもしれないけど、もったいないなあと思いますね。

感覚過敏は治りますか?


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