治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「治る」問題についてトニママとの会話

2010-05-06 07:51:25 | 日記
さてさて、「治る。治らない」問題について、続々とご意見が寄せられています。
肝っ玉母さんたちからも。当事者の方からも。
許可をいただいた方の意見をどんどんこのブログでご紹介させていただこうと思っています。

まずは「自閉っ子、深読みしなけりゃうまくいく」の著者、トニママさん。
日系アメリカ人の方と結婚され、今はカリフォルニアにお住まい。自閉っ子ママで学校で音楽を教える先生でもあります。
アメリカの療育の優れたところをご紹介くださり、一方で日本のいいところをリスペクトしています。
とても自然に子育てされています。IEPでも当然の要求はするけれど、超高額な自閉症学校に子どもを押し込んだり、40時間ABAを受けさせたりといった、熱い療育をされているタイプではないようにお見受けいたします。
ただ、トニー君に音楽をさせたい(趣味でいいから)という気持ちは強くお持ちでした。
トニー君はそれを実現し、今Magic Makersという自閉っ子バンドを組んで、ほうぼうで演奏してお金を得たり取材されたり。
それが社会とのつながりを生んでいます。ママの作戦は当たったのではないだろうか? と私は思っています。

そんなトニママにアメリカからのお土産でもらった自閉症啓発リストバンドにはこう書いてあったのですよね。

THINK CURE, THINK AUTISM

それを見てアメリカではどういう方向に進んでいるのかな? と興味を感じたのが始まりだったのです。

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トニママ→浅見

いつもブログ拝見してます。
稀勢の里との2ショット私もみてみた~い!!
まだまだ興奮さめやらずでしょうか!?

治った治らないが話題になっているようですね。
高年齢になると、かなり機能的な見通しがついてくるので”治った”みたいな子たくさんいます。
高校生になってIEPが要らなくなった子。
大学で学位を取った子。
仕事をして経済的に自立している子。
一人住まいしている子。
障害年金もらえない子。

こういう子たちの親で「うちの子は治った」と言いきる人*も*います。

自閉症そのものは治らなくても、その症状を改善することは可能です。
小さい時は超多動だったけど治った。
かんしゃくを起こして泣き喚いていたけど治った。
こだわりが治った。
オウム返しが治った。

そう、治るんですよね。

私は治る治らないにこだわりません。
自閉症のトニーがトニーだから。
トニーがハッピーで暮らせるように、そのためのベストウエイを提供してあげる
のが私の役目。”治るから”ではないです。

新刊楽しみにしております。

浅見→トニママ

こんにちは。
早速稀勢の里との2ショットお送りします(笑)。
見てくださる方は大歓迎です。

自閉症は親の責任とされていた歴史が長いと思います。
だから「治る」という言葉に敏感になる人多いです。
でも一番大事なのは、本人がラクに暮らせることです。
それなのに、そういう手段をとる親を非難する人々がいます。
そういう人たちに迷惑している親御さんたちもいます。

その子に何を提供するかは、おうちごとに決めるべきです。
「みんな違ってみんないい」と主張する障害のあるお子さんの親御さんたちが、
横並びを強いられるのはちょっと変です。
トニママさんの考え方は、とても健全なので、ぜひまたブログでご紹介させてください。

トニママ→浅見

見ました見ました!2ショット!
私は相撲中継見てないし全然知らないんですけど、稀勢の里ってむこうっ気の強い、生意気な方と噂で聞いていたので、この写真の優しい顔が私の印象とかなり違ってました。そのギャップがよかったりして、、、。浅見さんもとっても幸せそうでいいお顔されてますね。
ブログご紹介、光栄です。

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自閉症のお子さんのかんしゃくはやりようによって治るでしょう。
そしてかんしゃくがなくなったことで一番ラクになるのは周囲ではないのです。
お子さん自身なのです。
大大大博士にはそれがわかるのでしょう。だってfMRIを内蔵しているような方ですからね。

稀勢の里や私のむこうっ気の強さは治りません。
せいぜいそれを、「使えるもの」に磨いていくことしかありません。
幸いそれが生かせる職業についていることだし。

治る、治らないという意味を、私はそうとらえています。
治したほうが本人がラクになるものもあり
治さなくても生かす方向に考えたほうがいいものもあります。

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