治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

凡医に質問してやろう

2019-01-30 10:16:57 | 日記


3月3日は愛甲さんもいらしてくださるそうです。
席が足りないからやはり前に座っていただきましょうかね。
最北はあまちゃん県、最南は沖縄になりました。
楽しみですね。
一番多いのは地元神奈川。次が東京。次が千葉。
ほぼ人口比ですねこのあたりは。
静岡愛知も何人か。日本海側からも。長野や栃木といった内陸からも。意外と近畿が少ない。九州からも何名かお見えです。

24時間で埋まったのが「国技館並」と言ってくださった方もいましたが
国技館は最近あっという間に埋まりますから国技館並は褒めすぎとしても、少なくともJDDのあのていたらくとは比べものにならないですね。
どっちがギョーカイメジャーなのか、というメジャー争いではなく、要するに「セグメント化」なんです。治りたい人には治る情報も治る手段もある時代なんですよ。
そして「社会の理解ガー」はプレイヤーが多いけど「治る派」は今のところ少ないからここの集まりはあっという間に埋まるのではないでしょうか。

お申し込みと同時にこんなメールを学校の先生からいただきました。

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花風社の本に感銘を受けて、4月から子どもたちと毎日一時間、体を動かす遊びの時間を取り入れています。

身体からのアプローチを取り入れたことで、子どもたちが学習面も生活面も、本当に芋づる式に伸びていて、その成長ぶりには私自身も保護者も驚いています。
子どもからも、「ぼく、進化してる!」と言う嬉しい言葉がいろんな場面で聞かれます。

3日の講演で学んだことを、同僚の先生や保護者の方にも伝えられたらと思っております。

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「ぼく、進化してる!」という子どもたちの声。
これほど強いものはないですね。
うれしいですね。

これまでここには知的障害のことしか書いてありませんでしたが、当日はちゅん平さんはじめ自閉の診断をもらったことのある人もいるし、自閉の予後についてもディスカッションできたらと思っています。

それとこのブログをきっかけに図書館に行ってDSM-5のでかい本の邦訳に目を通した方もいました。
そのご報告です。

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DSM-5は読んだことがなかったので、日本語版を図書館で借りてざっと読んでみました。
英語は苦手なので、浅見さんが載せて下さった英語の原文をgoogle翻訳にかけて
日本語版と読み比べたところ、ほぼ同じ内容と思われます。
介入を療育と訳したりなどなかったですし。治る希望のある内容でした。
それだけに、ふつふつと怒りがこみ上げてきます。
神経発達障害のすべても借りたのですが、富永という先生は診断には興味があるけど、
親にとって一番重要な予後にはまったく興味がない人だというのはよくわかりました。
虫取り少年の成れの果ての人ですね。

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つまりDSMの著作権者から著作権を正式に買った医学書院はちゃんと訳している。そういう意味で誤訳ではないんです。私が再三誤訳ではなく嘘八百だといっているのはそういうことです。正式な翻訳元はきちんと訳さざるを得ない。それしかできないんです。

でもそもそも翻訳が出るのが変なんですけどね。医者なら英語で読めばいいわけだから。
世界的診断基準であることを意識しているせいか、とても簡単な英語で書いてあります。

それでも翻訳はまだいいとして、アンチョコが出るに至ってはもうあきれます。なぜアンチョコが出るのか。専門家が専門家づらをしていながら、実はそれだけ手っ取り早く仕事を済ましたいからでしょう。アンチョコが出ること自体がモラルハザードの現れです。そしてその手っ取り早く済ましたいという凡医心につけ込まれて、富永っていう大阪大学の先生の実にギョーカイに寄り添った()トンデモ解釈が出て、それをスルーして活字にしてしまう老害がいるわけです。

そして大抵の凡医は、アンチョコしか見ない。皆さんが診断のときに出会うのはこの凡医である確率が相当高いんです。山で羆に出会うより発達障害の診断の場面で凡医に出会う確率の方が高い。そしてどっちも一巻の終わりです。

読者の方はこんな風に遊んでみたそうです。
アルパカさんのツイートをお借りします。

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そういえば診察で医師にDSM5の原文に少しだけ目を通したけどどこにも生まれつきとなかったよ、何で日本は生まれつきだし治りませんなの?お国柄なの?と質問したらやはりゴニョゴニョでした。たくさん熱弁してくれたけどロジックとしては全く成立していなかった。

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テクノロジーは専門家と素人の垣根をいろんな意味で壊していますが、翻訳アプリもある時代、皆さんだって凡医の持っていない情報を手に入れられます。
それで理論武装して、凡医にぶつけてやりましょう。
「生まれつきの障害だから一生治らない」と凡医がしたり顔で言ったら

「先生、生まれつきってどこからですか?」と意気揚々ときくところから始めましょう。
全国津々浦々で凡医を問い詰めたら面白いことになります。
凡医に質問した後の様子、よかったら教えてくださいね。みんなで共有しましょう。

それと、読者の方から『神経発達障害のすべて』みたいなインチキ本が出るのは言論の自由なのか、的なご質問がありましたが

まあ取り締まることはできないでしょうね。
ああいう本を出すのは自由。
ただしああいう本が出るということが、医療の質を表しています。
情報とはそういう風に得るんですよ。
そしてその本のインチキ性に気をつけろ、というのもまた言論の自由で保障されています。

ただ読んで納得いかなかった人は版元に抗議することはできます。
どうして予後についてだけDSMに基づかないのか、と。
なぜ予後だけDSMに基づかないものをあたかもDSMの解説本のようにして売っているのか、と。親としてはたまらない、と。
「一生治らない」
医師がこう宣告することで自殺未遂や心中が起きているんです。
そういう意味で罪作りな本ではありますね。

ただし抗議していいのは、このメールをくださった読者のように本当に読んだ人だけです。
伝聞で抗議するのはフェアじゃないですね。
この読者の方は原文をグーグル翻訳し、医学書院の訳を読み、その差がないことをたしかめた。そして『神経発達障害のすべて』の予後がインチキであると確認した。
そこまでやって初めて「調べた」ことになるのではないでしょうか。

先日、WISC等の検査結果を親に開示しないのが当たり前になっていると知ってびっくりしましたが、発達障害以外の医療分野では情報開示って進んでいますよね。
それを開示しない。
とにかく発達障害の支援者は、親をバカにしすぎではないでしょうかね。

こんなになめられて黙っていることないですよ、皆さん。
まず全国で凡医を問い詰めましょう。

昨日ランチに食べたチキンレバーのカレーです。
血の気増量してギョーカイを潰すつもりです、私は。