治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

ギョーカイママ、あかんやろ

2018-05-28 14:40:11 | 日記
と思わず使い慣れない関西弁が出てしまうくらいあきれた出来事があった。
今朝のことである。
母のとこに用事があり出かけてきた。
そしたら
詳細は省くが母の知り合いでありどっちかというと社会の理解ガーをやっている自閉っ子ママから電話がかかってきて「浅見さんあの言動じゃあ誤解されるだろうせっかくしごとしているのにかわいそう」と上から目線で言ったそうである。

母がどんな反応をしたか知らない。知りたくもない。母は女子力高いのでそこで心にもなく賛同したのかもしれない。しなかったのかもしれない。まあともかく、いくつかの思いが私の脳裏をよぎった。

一つは「それでは誤解される」というような発言を私は二十代の頃からさんざん先輩女子にされてきてそのことごとくを無視してきたからこそ仕事でも家庭でも充実しているっていうことだ。今更55歳になって82歳の母にちくられたって痛くもかゆくもないということである。誤解なんていうのは道を歩いていれば石ころがあるようにごく自然な現象であり邪魔だったら蹴っ飛ばせばいいだけで、怖くもなんともない。逆にこのギョーカイママが啓発活動にいそしむのはこの人が誤解を恐れている人だからであろう。我が子が歩む道からは石ころをすべて取り除きたいのであろう。石ころがあれば蹴っ飛ばせばいいのだけれど、そういう風に育てる自信はない。だから社会の方に道路を整備して石ころ一つ落としてくれるなと要求する。社会の理解ガークラスタの仕組みが手に取るようにわかった。私たちから見ると啓発活動なんていうのは実に無駄な行為だが誤解がそれほど怖ければ啓発にいそしむ根拠はあるのだろう。

それと「それでは誤解される」と主として女子が言うときの本音。それは「私が気にくわないからやめて」なんだけど、こっちのメリットデメリットにすり替えなければきいてもらえないと思って「そのままだとあんたのデメリットになるよ」と主語をすり替えて脅しをかける。堂々と率直に「あんたのことは嫌いだ」っていうだけの勇気がなくそのままではあなたの損よみたいなこと言う。これも飽きるほど見てきて、そして全部木っ端みじんに砕いてきたパターンである。

そしてこのギョーカイママの明白なマナー違反。
それは気にくわないことを、全く仕事に無関係な、高齢の、生みの親にむかってチクったということである。
これを礼儀知らずと言わず何が礼儀知らずなのだろう。
しかも私はもう還暦に向かう年なのだ。30年前に親元を離れたのだ。親の育て方が悪かったとしてもいくらなんでももう責任から解放してあげていい年齢ではないだろうか。
私は別に内山医師のご両親のところに行って(どこにお住まいか、お元気かどうかも存じあげない)あんたの息子の患者に迷惑かけられた、とは訴えない。当たり前ではないか。

ソーシャルスキルなってないじゃん、と思った。
こんだけ自分が礼儀知らずで啓発も何もないもんである。
その活動が実らず社会が自閉症を理解しないのなら親が常識を欠いているからである。
それとこの人たちにどうしても見えていないこと。
それは私にも支持者・賛同者がいるということだ。
誰とも(無理矢理)仲良くしないと決めて、それで覚悟を決めて種々の問題提起をしている。考えの違う人が多いのは重々承知の上だ。けれども考えを明確にしているからこそ味方もできる。私は二十代の頃から「誤解されたらどうしよう」なんて考えずに自分を貫いてきてそれでも食いっぱぐれない程度には恵まれてきたのである。運が強かったのかもしれない。でもその運を呼び込んだのは、明確な問題意識なのである。
自分が叩かれたくないから、誤解されたくないから明確な問題意識を持たない、表さない。そういう生き方もあるだろう。でもその人たちに私は憧れの気持ちを1ミリも抱かない。だから言うことを聴くことは決してない。上から目線で語られてもこっちにしてみたら蹴飛ばすだけだ。

母は職業人としての私を知らない。だから一言「あ~そういうの、全部蹴散らしてきたんだ20代の頃から」と言っておいた。親子の会話としてはこれで終わりである。

そして当該のギョーカイママにメールを打っておいた。

=====

ギョーカイのなかで○○さんと私の立場は違う。
○○さんの周囲の人たちは私のことがわからない人もいる。
でも私の周囲は○○さんたちがやっている啓発活動そのものが時代遅れで役立たずと思っているからおあいこです。(編注:ここが専守防衛、やられたら倍返しのとこ)
「私の周囲は啓発活動すると誤解するから○○さんがかわいそう」なんてことは言いません。お互い信念に基づいて大人として行動しているのですからそんなことは失礼ですね。

以上お礼とお願いです。
花風社がやっていることを気に入らないのはかまいませんが母が個人的にお世話にになったことを利用しないでいただけるとありがたいです。

浅見淳子

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「誤解されるのが怖い」
こういう人が啓発活動にはまり、そしてギョーカイ系の役に立たないSSTにはまるのだと思います。
つまり怖がりの親が、啓発に走り
怖がりの親が、SSTに熱心なのだと思います。
「誤解される」「嫌われる」っていうのがこの世の終わりだと思っているから。

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本場所終わりましたが今日も四時起きで書いてました。
お楽しみに!