治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

二勝八敗

2012-10-10 09:20:47 | 日記
京都大学の山中教授のノーベル賞受賞で盛り上がっていますね。
昨日はうちで取ってる二紙見てみましたけど
挫折に触れたものが多かったです。

「これ見て誤解する人多そうだなあ」と思いました。

私は、わりとADHD当事者と直接話をするイベントなんかをやった時期があって
(今はもうあきた)
そのときにびっくりした質問はこれ。
「浅見さんも挫折とか経験あるんですか?」

挫折したことのない人っていると思ってるのかなあ
世界が平板に見えるんだろうなあと思っていました。

ユニクロの柳井社長は「一勝九敗」という本を出されましたね、昔。読みました。
それに全盛期の若貴のママ(トオイメ)は、どちらかが優勝かなんかしたとき
「つらい日の方が多い」って言ってて、あれ本音だろうなあと思いました。

成功している人ほど挫折も深い。社会でもまれてる分。
自宅警備員の挫折ってたかが知れてますよね。

私は二勝八敗くらいだろうなあ、と思いました。
んで、柳井社長とか山中教授より一勝多いのは
比べものにならないくらい小者だからです。
大物だから挫折しない、ではなく、大物ほど挫折は深いんですよね。

発達障害の人と周囲の人を見てて思うのは
一勝するには八敗か九敗するのは自然なプロセスなのに
ここでごたごた言う人が多いな、っていうこと。

その姿を見て「生きづらい」とか言われても
生きづらい、というより「世間知がないだけじゃない?」とか思えてしまって
本当の意味で私にはおそらく、「発達障害者の生きづらさ」ってわかってないですね。
何割かは幻想だと思っている。あるいは自分で作り出しているつらさだと思っている。

だからつらさには寄り添わないですよ。
むしろ「つらくないよ。幻想だよ」という呼びかけをする。

たとえばさ
先日もついったーでゆるーく皆さんに質問しましたけど
「嫌われるのはいやですか?」

どっちみち変人はつまはじきにする人が多いんで
(でもしない人もいるし気の合う人もいる)

「嫌われても別に」って思っているだけで、ずいぶんラクになると思うんですよ。

それを「誰にも嫌われまい」と無駄な努力して
「生きづらい、生きづらい」と言ってても、ぴんとこないわけです。

いや、たしかに生きづらいかもしれないけど
それって自分で選んでいないか? みたいな感じ。

いいじゃん、嫌われ者として生きていけば、と思いますけど。

ああ、神田橋先生が言っていた
「あなたのように開き直っている人は健康なのよ」っていうのはこのことかもしれませんね。

この本に書きました。



「彼」は私のこと一生嫌いでいい、ってね。一生憎んでていい、ってね。
本当にそう思ってますよ。

続々感想いただいています。

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