「ご主人、感染したと聞いたよ」デマに苦しむスーパー店主の妻
2020/04/24 11:57
デマについて説明する文書がはりだされた店内(岡山県里庄町で) 【読売新聞社】
(読売新聞)
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、地域やインターネット上では、デマや中傷が横行している。3月末に住民男性の感染が確認された岡山県里庄町では、スーパーの店主が、感染していないのに「感染者だ」とするデマの被害に遭った。1か月近くたっても客足が十分戻っていないといい、取材に応じた店主の妻は、「一度広がったデマを打ち消すことがこんなに難しいとは」と胸中を語った。(上万俊弥)
里庄町里見のスーパーを夫(68)と2人で営む女性(65)。生鮮食品などの必需品を取り扱っている。
女性が異変を感じたのは3月28日。前日に県が、里庄町在住で、フィリピンから帰国した50歳代自営業男性が新型コロナウイルスに感染したと発表していた。県内ではまだ2例目の感染確認だった。
女性がいつもより来客が少なく不思議に思っていると常連客から「ご主人、感染したと聞いたよ。大丈夫?」と小声で話しかけられた。
想像もしていない言葉に耳を疑った。女性の夫は60歳代のうえ、パスポートも持っていない。常連客には笑って否定した。
「事実じゃないからすぐに収まるだろう。意外と若く見られているのね」。そう軽くとらえていた。
ところが日を追うごとに客は減り続けた。店内にはり紙をしてデマを打ち消そうとしたが、拡散は止まらない。地元商工会も4月3日からホームページに店名をあげたうえで、風評被害の防止を呼びかけた。
それでも、「店の従業員がフィリピンに同行していた」「店内を消毒していた」といった根も葉もないうわさも耳に届き、1週間ほどで売り上げは4割減少した。
現在は徐々に客足が戻りつつあるも、「元通りにはほど遠い。あと何か月かかるのだろうか」と女性。「うわさが確かな情報か一歩立ち止まって考えてほしい」と話している。
◆里庄町=人口は1万1166人(3月末時点)。面積は約12平方キロ・メートルで、岡山県内の自治体で2番目に小さい。』
顔が、他人に見えず何をインターネットに書き込んでも自由で、法律で罰せられないと考えるのは大きな間違いです。「ご主人、感染したと聞いたよ」デマは、
刑法第二編第三十五章「信用及び業務に対する罪」刑法233条
『虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用6毀損し、又はその業務を妨害したものは、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。』
「偽計業務妨害罪」で、罰せられます。
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偽計業務妨害罪に問われる?SNSでの発信の際に気を付けるべきこととは? - Legal Mall
2019/07/11 · 偽計業務妨害罪は刑法233条に規定されています。 (1)偽計業務妨害罪とは. まずは、条文から確認しましょう。 刑法233条. 虚偽の ...
1、偽計業務妨害罪とは?1)偽計業務妨害罪とは3)威力
偽計業務妨害罪は刑法233条に規定されています。
(1)偽計業務妨害罪とは
まずは、条文から確認しましょう。
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害したものは、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
この条文では2つの罪を規定しています。
一つは、人の信用を毀損した場合の「信用毀損罪」、もう一つが、人の業務を妨害した場合の「偽計業務妨害罪」です。
「虚偽の風説を流布」し、または「偽計」を手段とすることは、「信用毀損罪」も「偽計業務妨害罪」も同じです。
①虚偽の風説を流布し
「虚偽の風説を流布し」とは、真実とは異なった内容の噂などを不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
②偽計を用いて
「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤・不知を利用することをいいます。
③業務を妨害する
「偽計業務妨害罪」の「業務の妨害」とは、業務の執行自体を妨害する場合に限らず、広く業務の経営を阻害する一切の行為をいいます。
現に業務が妨害されることは要せず、業務を妨害する抽象的な危険が生じた時点で同罪は成立するというのが判例の立場であるといわれています。
【業務とは】
なお、「業務」は反復・継続して行われる仕事である必要があります。
1回限りの行事等の場合は、「業務」に当たらないとされることがあります。
ただし、政党の政党大会など、継続的存在である団体の事務・事業の一環としてなされるものであれば、それ自体は1回しか行われなくても、業務に含まれるとされています。
さらに、「業務」は適法である必要もありません。
例えば、許可を得ずにされている営業なども、平穏に行われている限り、「業務」に含まれ、これに対する妨害については偽計業務妨害罪が成立します。
※「信用棄損罪」とは、「虚偽の風説を流布」し、又は「偽計」を用いて、「信用」(=経済的な側面における人の社会的な評価)を棄損し、又はその業務を妨害したときに成立する罪です。