教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

事故の教訓:システム改善へ。山内康一『蟷螂の斧』

2012年02月28日 14時41分30秒 | 国際・政治

民間有識者による「福島原発事故独立検証委員会」が、
事故発生時の菅直人首相ら官邸の初動対応を検証し、
その結果を公表しました。

同委員会は官邸の対応について「無用な混乱やストレスにより
状況を悪化させるリスクを高めた」と指摘しています。
さらに官邸の指示を「場当たり的で泥縄的な危機管理」と表して、
官邸の指示が事故の拡大防止に貢献しなかったと総括しました。

緊急事態の際の政府トップによる現場への介入を戒めました。
まさに総理官邸が「管理危機」の状況にあったことを改めて指摘し、
今後への教訓としています。

菅氏は第1原発に代替バッテリーが必要と判明した際には、
携帯電話で「大きさは」「縦横何メートル」「重さは」などと
担当者に直接質問し、熱心にメモをとっていたそうです。

同席者は「首相がそんな細かいことまで聞くというのは、
国としてどうなのかとぞっとした」と述べたそうです。
生々しくて空恐ろしくなるような状況です。

一国の首相が現場の係長のような仕事をすることをもって、
民主党は「政治主導」だと誤解していた様子が見てとれます。
政治的リーダーの菅首相が、問題を解決するのではなく、
問題の発生源になっていた、という危機的状況です。

こういった事後の検証はたいへん重要です。
将来の危機管理のあり方、政治的リーダーの役割、政と官の関係等、
これからの統治システムを考えていく上で貴重な参考資料となります。

菅総理は危機に際して、怒鳴り散らして現場の人たちを委縮させ、
政治的リーダーとしての資質なさを露呈しました。
しかし、単に自己当時の首相の資質の問題だけに終わらせては、
今後に向けた参考とはなりません。

当時の菅総理周辺のスタッフの対応にも問題がありました。
総理を支えるチームのあり方、危機管理担当部署の組織や編成、
常設の内閣危機管理監(官房副長官級ポスト)の機能不全など、
システムとしての問題点も検証し、改善しなくてはいけません。

単に「菅総理がダメだった」と納得していては進歩はありません。
被災者の皆さんの態度が、世界の多くの人を感動させる一方で、
統治システムの機能不全は、日本のブランドイメージを損ない、
国益の観点から大きなマイナスとなりました。

いろんな専門家が異なる角度から事故原因とその対応を検証し、
今後の参考として広く公表し、システムを改善することが大事です。
とんでもない事故を起こしてしまった我われの世代にとっては、
そのことが未来の世代への責任だと思います。

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引用元http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/

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1 コメント

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菅氏がむやみやたらに事故現場に介入し、相当の混... (noga)
2012-02-29 10:17:28
菅氏がむやみやたらに事故現場に介入し、相当の混乱を生み被害を拡大させた様子、、、
鳩山氏がむやみやたらに基地問題に介入し、相当の混乱を生み被害を拡大させた様子、、、

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

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