教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

裁量労働制(拡大)などに関する報告書を厚生労働省が公表

2022年08月07日 12時38分00秒 | 社会・経済

高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査 厚生労働省

 
高度プロフェッショナル制度(高プロ)に関する厚生労働省の報告(高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況)について『「過労死ライン」を月に125時間も超過 高度プロフェッショナル制度導入で働きすぎ助長の懸念が現実化』(2022年7月20日配信)にという記事を東京新聞のサイトに掲載され、その後、記者が関連質問を後藤厚生労働大臣に二日(ふつか=7月22日と7月26日)にわたってしているが、後藤大臣はまともに答えていない。そして「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」(高プロ適用者アンケート調査)についてはまったくふれていなかった。

「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」(令和4年3月末時点)と東京新聞記事 7月20日

高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況<抜粋>
東京新聞(デジタル版)は(2022年)7月20日、厚生労働省の資料「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」(令和4年3月末時点)を基にした記事を配信し、専門職の人を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル(高プロ)制度で、在社した時間と社外の労働時間が月間400時間以上だった人が、2カ所の職場でいたことが厚生労働省への報告で明らかになった。一般労働者の場合に『過労死ライン』とされる100時間を125時間以上も上回る。当初から指摘された働き過ぎを助長する懸念が現実化している格好だ」(東京新聞『「過労死ライン」を月に125時間も超過 高度プロフェッショナル制度導入で働きすぎ助長の懸念が現実化』2022年7月20日配信」と報じた。

なお、「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」については昨年(2021年)の6月に厚生労働省は令和3年3月末時点版を公表しているが、共同通信(2021年6月30日配信)は「高収入の一部専門職を労働時間規制から外す『高度プロフェッショナル制度(高プロ)』を3月末時点で導入していた17事業所のうち6事業所で、在社時間と社外で働いた時間を合計した『健康管理時間』が月300時間以上の長時間労働になった適用者がいたことが30日、厚生労働省の集計で分かった」と報じていた。

つまり「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」の令和3年3月末時点版と令和4年3月末時点版を比較すると、令和4年3月末時点版の状況はさらに深刻なことになっている。

後藤厚生労働大臣記者会見 7月22日と7月26日
厚生労働省のサイトによると、記者が「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」(令和4年3月末時点)関連質問を後藤厚生労働大臣に二度も(7月22日と7月26日)しているが、後藤大臣はまともに答えていない。

また、後藤大臣は(7月27日に開催された労働政策審議会 労働条件分科会の配布資料となっていた「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」(高プロ適用者アンケート調査)についても、まったくふれていなかった。

後藤大臣会見概要 令和4年7月22日<抜粋>
記者:
 高度プロフェッショナル制度は、昨年度の運用実績は各事業場の報告が厚生労働省でまとまっているのですが、これを見ますと、400~500時間を1か月最長でやったという事業場が2つあると。これは、過労死ラインを125時間以上超えているということです。それから、平均で300~400時間やったという事業場が2つあると。これは年間通して事業場全体でやっているわけです。過労死ラインがたぶん270時間くらいだと思いますので、これも当然過労死ライン越えの働き方が日常化していたということを示すわけなのですが、働きすぎを助長するのではないかと、国会でも非常に問題になった制度なのですが、この結果を鑑みてどのように受け止められますか。
大臣:
 今は手元に数字もないので、改めて数字を手元に持ってお答えをさせていただきたいと思います。
記者:
 お答えはいついただけるのですか。
大臣:
 適時また、この閣議後会見もしょっちゅう行っておりますし、また聞いていただければお答えはいたします。ただ、今のこの質問に対して、改めていつ会見を開いてお答えするかということではございません。
記者:
 つまり大臣に報告ないということですか。今の時点では。
大臣:
 そんなことはありません。もちろんそういう数字があることについては報告は受けております。今、私手元に数字のデータ等全く持っていない状況なので、改めてちゃんとお答えはしたいと思いますが、もし数字等についての評価等だったら、また、少し事前に言っておいていただけたら手元に持ってまいります。
記者:
 では、次回よろしくお願いします。

後藤大臣会見概要 令和4年7月26日<抜粋>
記者:
 厚労省が先月末に発表した「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」によると、会社にいる時間と社外で働く時間を合わせた健康管理時間がかなり長くなってしまうケースが相次いでいると。例えばその職場の最長だった人の時間によりますと「月間400時間以上~500時間未満」だった職場が2カ所。これは過労死ラインが100時間なのでそれを更に100時間以上上回っています。それから職場全体での平均が「300時間以上~400時間未満」だったという職場が2カ所あったと。
 高プロについては働き過ぎを誘発するのではないか、助長するのではないかという議論が国会でも成立するときにかなりあったと思うのですが、厚労省としてこういった形で出てきている現状をどのように受け止めているかお聞かせ下さい。
大臣:
 高度プロフェッショナル制度は、高度専門職の方で制度適用を希望する方が、健康をしっかり確保した上で、仕事の進め方や働く時間帯等を自ら決定し、その意欲や能力を有効に発揮することを図る制度でございます。
 制度を導入した事業場には、労働者の健康管理時間、健康管理時間というのは対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間の合計の時間ということで、一般の働いている方の労働時間とは違う指標を作りまして、その状況等を労働基準監督署に定期的に報告することが義務づけられておりまして、今般、その内容を取りまとめて公表したところでございます。
 この制度では、労働者の健康確保を図るために、使用者が健康管理時間を把握しまして、休日確保や医師の面接指導などの健康確保措置を実施することといたしており、これを徹底していくことが重要であると考えております。 ご指摘の「週40時間を超える健康管理時間が1か月当たり100時間を超えた労働者」等と、この対応についてどのようになっているのか、労働基準監督署は国会の決議に従いまして全ての事業場に労働基準監督官が行って、監督指導を全ての高度プロフェッショナル制度を採用している事業場に行って見ておりますので、不適正な運用となっているような場合には、労働基準監督署がこれを是正しているという認識であります。
 しかしいずれにしても、こうした取組を通じまして、今後とも制度の適正な運用を徹底していくことは必要だと考えております。
記者:
 厚生労働省としては、1か月あたりの健康管理時間が法定労働時間の40時間を超える部分が100時間を超えた人、こういう人たちには医師による面接義務というのは課されるわけですが、こういう人たちが何人いたのかというのは把握なさっているのか、これについては国会附帯決議でも制度運用の実態把握を速やかに行うべきと言われているのですが、きちっと把握なさっているのでしょうか。
大臣:
 ご指摘の「週40時間を超える健康管理時間が1か月当たり100時間を超えた労働者」等の人数について、定期報告の事項にはなっていないので、定期的にこの人数が報告されているということにはなっておりませんが、今申し上げたみたいに労働基準監督署は全ての事業所に対して監督指導を行って実態を把握しておりまして、不適正な運用となっている場合にはこれを是正するという、そういう対応になっております。

労働政策審議会 労働条件分科会 7月27日
後藤大臣の記者会見後、(2022年)7月27日に開催された厚生労働大臣諮問機関・労働政策審査会の第176回労働条件分科会(議題は無期転換ルールについて、「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書について<報告事項>、その他)で「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」は資料として配布された。こちらの資料の方が詳しく、「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」(速報)まで記載されている。

労働政策審議会 第176回 労働条件分科会 資料4 高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況等について(PDF)

「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」(速報)<抜粋>
調査の概要
(1)調査名:「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」
(2)調査期間:2022年1月14日~2月24日(調査時点:2021年12月末日時点)
(3)調査方法:高度プロフェッショナル制度適用事業場(22事業場)を通じて当該事業場に属する高度プロフェッショナル制度適用労働者(調査票配付時点全数)に調査票を配付し、適用労働者から直接返送(調査票は日本語版、英語版を作成。オンライン回答可)。
(4)調査対象:高度プロフェッショナル制度適用労働者572人(調査票配付時点の全数)
(5)有効回収数:254人(有効回収率:44.4%)
*本報告の資料は、労働政策研究・研修機構「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」の集計中データを基に厚生労働省労働基準局労働条件政策課で作成。

厚労省「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書公表 7月15日
厚生労働省の裁量労働制や高度プロフェッショナル制度などの労働時間制度見直しに関する検討会(正式名称「これからの労働時間制度に関する検討会」)が(2022年)7月15日に開催されて報告書(案)が議論したが(この第16回「これからの労働時間制度に関する検討会」が最後の検討会になると思う)、厚生労働省は同日(7月15日)報告書(報告書全文と概要と参考資料)を公表している。

厚生労働省は今年(2022年)1月~2月に「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」(高プロ適用者アンケート調査)を労働政策研究・研修機構(JILPT)に委託して実施していたならば、何故、7月15日に最後の「これからの労働時間制度に関する検討会」を開催して報告書をとりまとめて、しかも、その日に報告書を公開したのか。

「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」(高プロ適用者アンケート調査)の調査結果報告書を労働政策研究・研修機構(JILPT)が作成し、その高プロ適用者アンケート調査結果報告書、およびさらに深刻な状況になっていることを明確に示している「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」令和4年3月末時点版を厚労省「これからの労働時間制度に関する検討会」で議論して、その議論結果を「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書の中に反映するべきではなかったのか大いに疑問。

「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書<抜粋>
6 高度プロフェッショナル制度
・高度プロフェッショナル制度は、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に従事する場合に、労使委員会決議や本人同意、休日の確保、健康・福祉確保措置等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外にできる制度である。働き方改革関連法により設けられ、平成31(2019)年4月から施行されている。
・同制度では、働く時間帯の選択や時間配分についての広範な裁量が対象労働者に認められている必要があり、対象労働者の健康確保を図りながら、自律的に働くことを可能としている。同制度の創設は、こうした働き方に対するニーズの実現に資するものと考えられるが、フレックスタイム制と同様、働き方改革関連法において、施行後5年を目途とした検討が求められていることから、施行の状況等を十分に把握した上で検討を進めていくことが求められる。

<関連記事>
 

「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」と「高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査」|Hiromasa Saeki|note

高度プロフェッショナル制度(高プロ)に関する厚生労働省の報告(高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況)について『「過労死ライン」を月に125時間も超過 高度プ...

note(ノート)

 

<form class="search__box--inner" accept-charset="UTF-8" action="https://blog.goo.ne.jp/roudousoudan/s"><input class="search__input--nav" name="sword" type="search" value="" placeholder="キーワードで検索" /><button class="button button--primary"></button></form>
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« jlj0011のblog サタンの宿<... | トップ | 文明から文化へ: From Civil... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿