大阪万博の公費負担増は避けられず…会場建設費「3000億円」突破の恐れ、当初比の2.5倍に

もうスパッと諦めた方がいいのではないか。
2025年4月開幕予定の大阪・関西万博で、参加国・地域のパビリオン建設が全く進んでいない問題。背景に深刻な資材高騰や人手不足の問題があり、海外パビリオンの建設を引き受ける業者がいないことが影響している。気になるのは、パビリオンを含めた会場建設費が膨張しかねないことだ。建設費は、国と大阪府・市、経済界の3者が同額を分担する。コストが膨らめば、公費負担も拡大必至だ。
「昨年から今年にかけ、建設に関わる諸費用が急上昇している。発注しようとしても、まず受けてくれるゼネコンを探すのに一苦労です。見積もりをお願いすると『1カ月先に同じ費用でやれるか分からない』という理由で即決を迫られる。万博会場の建設費も膨張は確実でしょう」(設計事務所関係者)
大阪万博の会場建設費は、もともと1250億円だった。05年の愛知万博などの実績を基に府が試算した数字に、経産省が物価上昇率を加味して17年に算出した。ところが、コロナ禍後の20年末に600億円増え、1850億円に膨張した経緯がある。
今後、どこまで拡大するのか。一般財団法人「建設物価調査会 総合研究所」のデータを基に本紙が調べたところ、驚きの結果が出た。それによると、集合住宅や事務所など一般的な建築物の「純工事費」について、15年を「100」とした場合(17年は横ばい)、20年末は5ポイント上昇の「105」。つまり、17年からの3年間で上積みされた600億円は「5ポイント」に相当することになる。
パビリオン建設はフツーの建物より高くつく
「純工事費」はさらに21年以降急上昇し、直近調査の今年6月時点で「125」にまでアップ。20ポイントもの上昇だ。単純計算で、上昇分は「5ポイント=600億円」の4倍に当たる2400億円。合算すると4250億円にまで増えてしまう。粗い計算だが、これほどの膨張はあり得るのか。
建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。
「さすがにそこまでの膨張は考えづらいでしょう。しかし、20年末から現在までに建設コストはおおむね5割増しになっていますから、少なくとも、1850億円から900億円超、膨れ上がっていることが考えられます。さらに、パビリオンは工法も材料も特殊ですから、一般的な建築物よりコストが高い。また、工期が短くなれば、人件費も上がります。総合的に見て、3000億円を超える可能性があるでしょう」
すると、国と府・市の税金からの拠出は2000億円か。どれほどの国民が納得するだろうか。
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