岸田文雄首相が経団連に賃金引き上げについて応分の回答を出すよう要請し、十倉雅和会長もこれに応じる姿勢を示した。
連合も、定期昇給を含め平均5%の要求指標を打ち出した。近年ではかなりの高率になったが、それだけ実質賃金の低下、物価上昇の激しいことが裏付けられている。
これに対し、個別企業は相変わらず内部留保に重点を置きながらも大企業はある程度要求に応じる可能性がある。
しかし、大企業が正規社員を中心に一定の賃上げをしたとしても、主要国から置き去りにされつつある国単位の平均賃金の上昇は期待できないだろう。
現在、大企業正規社員の年齢別平均賃金と、主要国企業の年齢別平均賃金は恐らくそれほど掛け離れていないが、国単位の平均賃金は年々日本が低位に置かれつつあるのは、やはり、日本の企業の99.7%を占めている中小企業雇用者、約40%を占める非正規社員及び男女間の賃金格差が大きいためだ。
主要国でも全体企業中の中小企業の割合は日本とほとんど変わらいが、賃金が産業別に決められている国が多く、男女の賃金格差が少ないこと、最低賃金も比較的高いため、国全体の平均賃金が日本より高くなっているのが実情だ。
つまり、基本的な賃金構造が日本と主要国とは根本的に異なっており、日本の大企業正社員の賃金が少しばかり上がっても大勢にほとんど影響がないだろう。
日本の平均賃金が主要国に追いつくためには、大企業と中小企業、正社員と非正規社員、男女別の格差を縮小すること、最低賃金を当面1000円以上引き上げことに真剣に取り組まない限り永遠に望めないだろう。「関連:1月8日」
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