6月9日、アメリカのトランプ前大統領が、機密文書を持ち出した問題をめぐり、フロリダ州の連邦地裁はトランプ氏の起訴状を開示した。
軍事機密と知りながら部外者に文書を見せびらかし、捜査が始まると文書の隠蔽に動いたことが検察により詳細が明らかにされた。
トランプ氏は、権限がないのに国防に関わる文書を保持したスパイ防止法違反で31件の罪に問われ、司法妨害や虚偽陳述の罪を含め計37件で起訴された。
トランプ氏が2度にわたり機密文書を外部に見せたことも指摘され、この部分の録音も残されているとのことだ。
また、アメリカ連邦捜査局の捜査を受けた際、「文書はない」という虚偽の回答をするよう弁護士に提案したことも明かされ、側近に文書が入った箱の一部を移動するよう指示したことも隠蔽のためだったと検察は指摘した。
トランプ氏については、今年4月、不倫関係の女性に口止め料を払ったことなど34の罪状でニューヨーク州マンハッタン検察から起訴され、12月に公判が予定されている。
また、議事堂乱入事件、大統領選の結果を受け入れないという問題など未だに未解明の問題が残っている。
ただ、トランプ氏は、多くの罪状について総てを否定し、生き延びることができるものと自信を持っているようだ。
また、支持者も罪状よりもトランプ氏の突破力に多大な期待を抱いていることが、トランプ氏の自信を支えている格好になっている。
トランプ氏は、来年行われる大統領選挙に出馬を表明しており、今のところ他の立候補表明者に大きく差をつけている。
ただ、今後、起訴された罪状について裁判所がどのような判断をするかによって、共和党内におけるトランプ氏の立場が弱まるか否かは良く分からない。
共和党内は、トランプ氏を批判すると袋叩きにされて、今の立場から引きずり降ろされてしまうという民主主義国家として考えられないような惨状になっている。
しかし、民主党からバイデン現大統領が再出馬を表明しているが、トランプ氏では勝てないと言う見方があり、トランプ氏の圧力に弱い共和党はジレンマに陥っている。
今の構図は、強いトランプ前大統領に対して、弱い共和党という図式になっている。共和党は、このジレンマから脱皮することができるのか。アメリカの民主主義が問われている。「関連:4月7日」