自然科学の分野で、おととしまでの3年間に発表され引用が多かった論文の数を各国で比較したところ、日本は過去最低の12位に後退し、初めてトップ10から陥落した。
論文の引用回数は「質」の高さの指標とされ、各研究分野で上位10%に入った論文の数は、おととしまでの3年間の平均で日本は3780本と前回からわずかに増えたものの、韓国などに抜かれ10位から12位に後退した。
また、論文の総数でみると、同じく3年間の平均が6万7688本で、前回から1つ順位を落とし5位に後退した。
その他、博士号の取得、アメリカへの留学生の低迷、深刻な大学教員の雇止めなど学術を巡る日本の弱体ぶりは目を掩うばかりだ。
このような状態では、現在、アジアで抜きん出て多い日本のノーベル賞の受賞者は、近い将来皆無になってしまう可能性が危惧される。
また、安倍晋三元首相時代から、日本学術会議との対立は、菅義偉前首相が6名の学術会議の会員申請を認めず、現在学術会議法の改正にまで持ち込まれると言う憂いべき事態になっている。
政府と学術会議の対立の根本的な原因は、簡単に言えば学術会議が政府の意向に思うように従わないからだ。
この状態は、戦前、戦中にあったように、科学者らを無理やり政府の方針に従わせ、勝算無き戦争の道を突っ走った過去を繰り返している感じだ。
最近は、自動車産業など一部を除き、例えば半導体の衰退、IT技術の遅れなど経営面の失敗に加え科学技術をないがしろにした結果、日本が世界から遅れを取っている事態が目立っている。
政府はこのような状態をもっと深刻に受け止め、問題点を浮き彫りにして抜本的な改革、改善を早めなければならない。「関連:4月22日」