日本銀行が公表した1~3月期の資金循環統計(速報)によると、3月末時点で個人(家計部門)が保有する金融資産残高の合計は2043兆円だった。
前年同期比1.1%増で、四半期ベースで過去最高を更新した。国内の株式相場が上昇基調にあり、保有する株式の残高が増えた。
金融資産は株式や現金、預金などの合計。内訳をみると、「現金・預金」が1.7%増の1107兆円で金融資産残高全体の54%を占めた。冬の賞与が支給される時期にあたる2022年10~12月期からはわずかに減少した。
「株式等」は2.7%増の226兆円、「投資信託」は0.6%減の90兆円、「保険」は0.5%減の378兆円だった。
日銀が保有する国債の比率は53.3%となり、過去最高だった。大規模な金融緩和策を続ける日銀は金利上昇を抑えるために、市場から国債の買い入れを続けている。残高は576兆円となり、前年同期よりも11.7%増えた。
この状況から見えることは、国民一人当たりでは1070万円程度になるが、70%はその半額にも達しておらず、アメリカ同様、10%ほどの国民に財が偏っていることが伺える。
今回の集計では、「株式等」が最も増えているが、政府が株式投資に力点を置いていること、企業の自社買いが増えていることなどで、株価が大きく上昇していることを裏付けている。
また、日銀が有する多大な国債により、日銀の金融政策が弾力性に欠け、金利上昇への転換をいっそう困難にしている。
一方、現在、政府の借金は約1200兆円に達しているが、政府がさらに借金を増やそうとしている裏付けとして、この個人保有の金融資産残高2043兆円を当てにしていることも伺い知ることができる。「関連:5月1日」