アメリカのトランプ大統領が、安倍晋三首相との日米首脳会談の際、自動車に対する高率関税を掛けると脅かしたら、日本はすぐさま2国間経済交渉に応じたと述べた。
先に、日本が物品に特化した交渉といわれるTAGに応じたことを、自国向けに手柄話のように語ったのだろう。
トランプ大統領の言葉をそのまま信じれば、何回もゴルフをやり、トランプ・タワーなどで、何回も食事を共にして、親密ぶりをアピールしていた安倍首相を脅かし、ディールに持ち込んだように聞こえる。
これは推測だが、安倍首相はその際、何とかトランプ大統領の脅しを交わすため、必死にFTAだけは逃れて、FTAとほとんど変わらないというTAGを承諾したのではなかろうか。
これでは、日米首脳の真の友好関係とは何なのか、よく分からない。それどころか、日本の首相が脅かされて、相手の意のままにされるとは屈辱的だ。
相手が、強圧的に出てきた場合、総てにおいて不利な立場にあるのならば、ひれふするしかしょうがないかも知れないが、日本はアメリカに対し、全く不利な立場にあるとは思えない。
かつて、橋本龍太郎首相が、当時のアメリカのクリントン大統領に、米国債を売ると逆襲したことがある。もし、本当に売った場合は、ニューヨーク市場の株価が暴落するほどのインパクトがあった。
現在でも日本は、アメリカに対して最大の債権国だ。約100兆円のアメリカ国債を保有している。
トランプ大統領はこのことを知ってか知らずか、一方的に自動車関税で脅しをかけたが、安倍氏が、橋本元首相のように、売り言葉に買い言葉で一発逆襲していたら、話はいったいどうなっていただろう。
いつも、アメリカの言うことばかり聞いていないで、一寸の虫にも五分の魂があることを見せつけたいものだ。「関連:9月30日」