昨日、韓国のソウル中央地裁は、国家元首に対する名誉毀損罪で告訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対し大方の予想を覆し無罪判決をした。
同地裁は、加藤前支局長がコラムに書いた内容は虚偽と認識しており、韓国国民として同意しがたいと再三強調しつつ、公人に対する言論の自由を広く認めた。
この判決に対し安倍晋三政権は、今後の日韓関係の改善が進むものと好感を持って受け止めている。
産経の加藤前支局長の起訴については、韓国に言論の自由がないと世界に発信されたことに、韓国では予想外の進展と受け止められ、今回の判決はそれを払拭する意図があったものと思われる。
しかし、それはそれとして、産経が韓国の朴槿惠大統領がセウォル号事件の際、秘書の男性と密会していたとコラムで報じたことは、ニュースソースの真偽はともかく、いかに言論の自由とは言え、いささか行き過ぎだと思わざるを得ない。
産経の報道姿勢が、平素から韓国に対し厳しい立場を取っていたことも、韓国側からしてみると自国の大統領のスキャンダルを、日本を介して世界に報道されたことで反発が募り告訴に繋がったかも知れない。
また、もともと安倍政権と産経は右寄り姿勢で繋がっていて、安倍政権に反感をもっている韓国政府が、大統領のスキャンダル報道をことさら反安倍と結びつけたのかも知れない。
安倍政権が、産経支局長の擁護をしたことも、もし、安倍政権に批判的な新聞だった場合は同じようにしたかどうかも、うがった見方かもしれないが考えざるを得ない。
まあ、結果的には、加藤前支局長は無罪になり、今後の日韓関係の改善に繋がれば、雨降って地固まることになり結構な話だが、この問題の経緯からいろんな想定が浮かぶ。「関連:2014年5月7日」