今年7月から国際宇宙ステーション(ISS)に141日間滞在した油井亀美也さん(45)が日本時間11日午後10時10分すぎ、ロシア宇宙船ソユーズで、中央アジア・カザフスタン中部の草原地帯に帰還した。油井さんの健康状態は良好という。
油井さんは11日午後3時半ごろ、ISSに残る3人の宇宙飛行士と抱き合って別れを惜しんだ後、アメリカとロシアの飛行士とともに帰還用ソユーズ宇宙船に移動した。同6時49分にISSから切り離された後、大気圏突入のため噴射を行った。
当初は12月末に帰還する予定だったが、ロシアの無人補給機のスケジュール変更などに伴い、11日に前倒しになった。この影響で、最近のソユーズでは異例の日没後の帰還となった。
油井さんは、さっそく記者の質問を受け、「重力を感じます。寒いですが、みなさん大丈夫ですか? 宇宙もいいですが、地球もすばらしい。冷たい風が心地よい感じがします」「ゆっくりシャワーでも浴びたいです。ツイッターをフォローしてくれている人がたくさんいるので、情報発信したい」と述べた。
油井さんは7月23日、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地からソユーズ宇宙船でISSに到着。8月には日本人飛行士で初めて、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げられた無人補給機「こうのとり」5号機をロボットアームでキャッチし、ISSにドッキングさせた。
日本実験棟「きぼう」では、謎の暗黒物質発見を目指す実験装置を設置し、創薬につながるたんぱく質の結晶成長実験なども担当。ツイッターを使った情報発信にも積極的に取り組んだ。
油井さんは2009年2月にJAXAの宇宙飛行士候補に選抜された。航空自衛隊のテストパイロット出身で、今回が初飛行だった。来年6月ごろには、全日空パイロット出身の大西卓哉さん(39)がISSに長期滞在することが決まっている。(時事通信)「関連:8月25日」