沖縄県は、「翁長雄志知事による辺野古埋め立て承認取り消しの効力を止めた国の決定を取り消すよう」求める内容の「抗告訴訟」を那覇地裁に起こした。
国は既に承認取り消しの撤回を求めて代執行訴訟を那覇地裁に起こしており、国と県が双方を訴え合う異例の事態となっている。
沖縄県の訴状によると、沖縄防衛局長が行政不服審査法に基づき国土交通相に承認取り消しの効力を止めるよう申し立てたことは、本来行政不服審査は「私人を救済するための制度であり、防衛局長は申し立てる資格がない」とするもので、国交相による効力停止は「内閣の一員として埋め立てを遂行するために違法に決定を行った」として取り消すよう求めている。
ただ、抗告訴訟は行政機関同士の争いを想定していないとの指摘もあり、沖縄県には訴える資格がないとして却下される可能性もあるとのことだ。
一方、国交相の決定は不当だとして、翁長知事が審査を申し出ていた国の第三者機関「国地方係争処理委員会」は、「国交相の判断は、明白に不合理とは言えず審査を対象外」としてこれを却下した。地方自治法は、結論に不服があれば高裁に提訴できるとしており、県は新たな訴訟を検討している。
もし、沖縄県が高裁に訴訟した場合、国が1件、沖縄県が2件、合わせて3件の裁判が並行する状況になる。
中谷元防衛相は、裁判をよそに全力を上げて工事を強行する意向を示している。翁長知事の裁判に訴えた必死の抵抗は既定の方針のようだが、裁判はどうしても権力側に偏る可能性があり、翁長知事としても不利を承知で訴訟を通じて世論を味方につけることを狙っているようだ。
また、翁長氏は、国と県の対立という民主主義国家として異例の事態を国内外にアピールして、願わくはアメリカの世論がオバマ大統領を動かす形になることを期待しているかも知れない。「関連:12月3日」