軽減税率の対象品目で問題になっていた外食の基準が、自民党、公明党による協議によって固まった。簡単にいうと店内で食べた場合は軽減税率適用外、持ち帰りなど店外で食した物は適用させるということのようだ。
例えば、うなぎ屋で蒲焼を焼いてもらい、それを家に持ち帰って食すると軽減税率が適用されることになる。
つまり、その食品の価格で決めるものではなく、店内、店外で分けることにしたらしい。分かり易さから言えばうなずけないことは無いが、値段に関係ない点ではちょっと軽減税率の趣旨からいって矛盾している。
軽減税率適用品目で、週に2回以上発行の新聞で家に配達されるものは適用し、それ以外の出版物は、新聞でも売店で買ったものを含めて総て適用外になる点もうなずけない。
また、民主党の細野豪志政審会長も指摘したが、軽減税の趣旨が低所得者救済だとすると、電気代、水道料、ガス代金など誰でも絶対に必要とするいわゆる公共料金的な物が軽減税率の適用にならないこともおかしい。
さらに、軽減税率の恩恵を受けるのが、低所得者も高額所得者も同じなのは如何なものか。むしろ、高額所得者の方が、生鮮食品にしても外食にしても高価なものになることは常識なので、それだけ軽減税も多くなる。
だから、当初、財務省が出したマイカード活用の還元方式の方がよいのだ。という声が聞こえてきそうだが、インボイス制度を2031年4月から取り入れるようになったようなので、それならマイカードにはいろいろ問題があるにしても既にスタートしてしまったので、これの活用の一環として還元方式の方がまだ軽減税の趣旨に合っているような気もする。
また、消費税10%への増税時期の2017年4月まで業者の事務処理が間に合わないため、暫くは大手事業者を含めてすべてがいわゆる「みなし課税」にするようだ。「みなし課税」は読んで字の如くであくまでも消費税納入がみなし額なので、どうしても少なめになりいわゆる「益税」が発生しやすい。消費者が払った消費税が業者のふところに入ってしまう分けだ。
政府・与党の試算で軽減税は約1兆3000億円になるという。これは社会保障費を減らすか、新たな税収を考えるか、国債発行を増やすかによって補わなければならない。
自民党、公明党の選挙対策でむりやりつくられた理念なき軽減税率は、果たして国民の利益に繋がるだろうか。「関連:12月15日」