入管問題を考えさせられるこの小説、おおすすめです。
中島京子さん『やさしい猫』
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中島京子さん『やさしい猫』が第56回吉川英治文学賞を受賞。中島京子×小林美穂子「入管施設の被収容者への暴力はなぜなくならないのか」〈前編〉|話題|婦人公論.jp
生活保護受給者や路上生活者。在留資格を失って入国管理の施設に収容された外国人。コロナ禍でますます困窮する人たちの身に今、何が起きているのか。...
婦人公論.jp
外国人の人権と入管の闇
小林 シングルマザーの保育士ミユキさんと娘のマヤちゃん、ミユキさんの8歳年下のスリランカ人で自動車整備士のクマさん。震災ボランティアを機に惹かれあい、さまざまなことを乗り越えて築いた家族の小さな幸せが、「外国人」というだけでクマさんの在留資格の問題のために突然壊されてしまう。入国管理と人権というアクチュアルな問題を背景に、主人公一家がどうなってしまうのかハラハラしながら面白く拝読しました。
小林 入管は無責任です。仮放免だと働いてはダメと言われ、行動も制限される。また、使える制度もなく、健康保険にも入れず医療にもかかれない。かといってすぐに帰国できる状況にもない。ではコロナ下の日本でどうやって生きていけというのか。
「ネズミ捕り」のようなもの
小林 ウィシュマさんの事件が起きるまで注目されなかったけれど、入管施設でのひどい事件は、ほかにもたくさん起きています。
中島 1997年から2021年までに、全国の入管施設内で21名の被収容者の方が亡くなっている。それでもなお「不法滞在するほうが悪い」という世間の声は決して少なくないのが現状です。
小林 たとえば『やさしい猫』の中では、クマさんが突然会社をクビになります。その上さまざまな事情が重なり不本意ながら不法滞在の状態に。それを相談しようと入管に向かう途中、入管の最寄り駅で網を張っていた警察に職務質問されて捕まり、施設に収容されてしまう。こんなことって本当に行われているのですか。
中島 入管問題に取り組んでいる弁護士の方から取材した実話をもとにしました。警察が交通違反の検挙数を上げるためにやる「ネズミ捕り」のようなものだとも言われています。
小林 結局、どこからも守られていない人たちが、さらに日本人に叩かれているんですね。
公的機関が人を救おうとしない
中島 公的機関が人を救おうとしない、申請を受け付けたがらないという面で、生活保護と入管の問題には共通点がありますね。
中島 一方で日本の難民認定率は1%以下。欧米諸国は20~50%ぐらいです。そもそも難民になった方はどこにいようと難民のはずなのに、ある国では難民と認められ、別の国では認められないということ自体おかしいです。
小林 日本の難民認定は先進諸国の中でも異常なハードルの高さですね。難民の方々は命がけで国を出てきて、生きるための選択肢がほとんどなくなっている人たちなのに。
中島 現場に裁量権がありすぎるところも似ています。難民認定とか仮放免を決めるのに、入管の裁量権が大きすぎる。
生存は椅子取りゲームではない
小林 人権のある人とない人に区分けされているような現状はおかしいです。生存は椅子取りゲームじゃありません。
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