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Narashino Geography ⑱ 自然改造

2021-02-18 00:00:41 | 地理学

自然改造

21世紀は水不足の時代

21世紀に変わる頃、「21世紀の食糧問題について書いてほしい」と頼まれて、「21世紀は水不足の時代」と書いたら、「水は食糧ではないから…」と指摘されました。

ラスベガスの水不足とアマゾンの水銀汚染

地下水に頼るラスベガスで、同じ地下水をくみ上げて、灌漑農業を行っているトウモロコシ農業と競合して、水不足が心配だという話を聞いて書いたのでした。

ラスベガスから水が消える日 - trendswatcher.net

発展途上国では化学肥料の使用で飲料水になる地下水が汚染されたり、アマゾンでの金採鉱で水銀汚染が起こっているなどと聞いたのもこの頃でした。


水合戦

数年前には、日本でも水源地の土地を中国人などが購入していると、一部で問題視されました。身近なところでも水合戦が始まっています。
(ブルー・ゴールド 狙われた水の真実)



ソ連(現ロシア)の自然破壊でアラル海が干上がる

地球全体の水の量はほぼ一定で、宇宙から氷が降ってきて、僅かに増えています。とはいえ、微々たる量で、人類が利用できる水は限られています。第二次世界大戦後、大規模な自然改造で乾燥した土地を農地に変える動きが広がりました。特にソ連(現ロシア)では、乾燥した肥沃な土壌の黒土地帯に灌漑網や防風林を設置して穀物の増産を図ろうと、スターリン時代に計画が始まりました。一時、耕地が増えましたが、安易な灌漑で、地下の塩分が地表に毛細管現象で吸い上げられ、大規模な塩害で農地が荒廃し、穀物生産ができなくなってしまいました。さらに、無理な取水を続けた河川の水が枯れ、その河川の水が供給されていたアラル海などが干上がる現象も起こりまた。生態系を考えず、人間中心の計画が大規模な自然破壊の例として、今では教科書にも載っています。


エジプトはアスワン・ダムで耕地がやせた
エジプトでもナイル川の中流、スーダン国境に近いところに灌漑用水、洪水防止、発電などの多目的のアスワン(アスワン・ハイ)ダムが1970年に完成すると、予想しなかった問題が生じました。洪水が防止されると、何千年もの間、毎年供給された肥沃な上流の土壌が供給されなくなり、耕地がやせていきました。巨大なダム湖ができ、風土病が上流に広がったり、最下流のナイル川デルタも土壌供給が減って海岸線が後退していきました。また、灌漑用水も水路に大量の水草が発生して農地までほとんど届かないようなことも起こりました。

(ナイル川の水資源とエジプトの水利用)
http://www.jiid.or.jp/ardec/ardec54/ard54_key_note1.html

自然改造の大きな副作用。地球温暖化で永久凍土や氷河が溶けてウイルスを放出?

自然改造には大きな副作用があるため、1970年代後半から「環境アセスメント」が重視されるようになりました。しかし、アセスメントも万能ではありません。コビッド19ウイルスも思わぬところから人類世界に現れました。地球温暖化や野生と人間との距離の変化が人類の脅威となることがあります。今、心配なのはシベリアの永久凍土や南極の氷河が溶けて、人類が接したことがないウイルスが放出される可能性があることです。人類の歴史は約700万年、それ以前のウイルスが氷に閉じ込められているからです。
(永久凍土の危険性)


地球という「生命体」にとって、人類そのものが「がん細胞」

人の思いつきは「足らないこと」が多く、結果が出るまで何が起こるかわからないということがあります。環境破壊の多くは、直近の問題だけでなく、100年、1000年の単位で不都合が生じることにあります。地球という「生命体」の一部としての人類を眺めると「人類はがん細胞」のようにみえます。際限なく増えて、「毒」を垂れ流すさまは、がん細胞に良く似ているからです。 (近)

 

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