真新しい「うしお丸」の船体
「うしお丸」の竣工祝いテープカット
北海道大学が代船建造を進めてきた水産学部附属練習船「うしお丸Ⅲ世」(262㌧)の竣工式が11月4日午後1時から函館市国際水産・海洋総合研究センターで挙行され、大学や来賓、設計、造船、漁協の関係者らが出席し竣工を祝った。式典には工藤壽樹函館市長、阿部国雄道漁連会長(福島吉岡漁協組合長)、安田昌樹道漁連専務らも出席した。
新しい「うしお丸」は3代目となり、建造から30年を経過し老朽化した2代目の代船建造として総工費29億4800万円をかけ、新潟造船株式会社(新潟市)が入札で建造を請け負った。令和3年12月に起工、4年3月に進水、10月末に竣工、函館に回航し引き渡された。漁業実習をはじめ海洋観測・調査研究に運用し、高い安全性の確保、耐候性、船体動揺の軽減、30年以上大規模修繕が不要な最新の船体形状・構造をもち、女性の乗船にも配慮した居住空間、低燃費化による環境負荷軽減に配慮し、高度な海洋観測に必要な調査機器を装備している。
竣工式では、寶金清博北大総長が「本船は東北以北の亜寒帯沿岸域での実習ができる日本で唯一の「海上移動研究室」と考えている。少人数の学生に対し、密度の高い実践的な教育を繰り返し、高い専門性の涵養、研究者としての幅広い素養を身につけ、独立した研究室で学びを深め、お互いのコミュニケーションを高めることができる。また、道南地域の水産業にとって大切な人材を輩出する役割を担っている」と挨拶した。
次いで、文科省高等教育局専門教育課の奥井雅博課長補佐が「北大水産学部は地域の漁業団体の協力、沿岸域の研究に強みがある。北大の教育理念を実践するために新造船が担う役割大きく、地域の漁業振興にも積極的に活用してほしい」と祝辞を述べ、代船建造小委員会の向井徹委員長が「旧船より全長で6m、トン数で100㌧増え、多少のシケにも大丈夫な耐候性をもっている。計量魚探など最新機器を搭載し、使いやすい船に仕上げることができた」と建造経過を報告した。
このあと、出席者は新しい「うしお丸」が停泊している岸壁に移動し、工藤函館市長、坂岡桂一郎うしお丸船長ら8名がテープカットを行なって竣工を祝った。最後に都木靖彦水産学部長が「クラーク博士が示したロフティ・アンビション(高邁なる野心)を実現する船にしたい」と挨拶し、建造に携わった関係者に感謝した。出席者は乗組員に案内され真新しい船内を見学した。