goo blog サービス終了のお知らせ 

水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

全国サンマ水揚げ状況(11月末) 11月だけで1万4千㌧漁獲、累計前年の7割強に

2020-12-01 21:58:12 | ニュース

 全国のサンマ水揚げは11月で1万4,500㌧と伸び、累計では2万7,000㌧に近づいた。

 漁業情報サービスセンターによると、11月の全国のサンマ水揚げは30日までに1万4,600㌧に達し、㎏平均単価は422円となっており、前月平均に比べ100円安いが、前年同月に比べると、8割近く高騰している。

 これによって今シーズンの累計は、2万6,750㌧となり、前年同期の7割強まで回復しており、前年同様11月の水揚げが10月を上回るパターンとなった。しかし、過去5ヵ年の平均と比べると3割程度の大不漁には間違いなく、外国漁船の影響や資源減少の問題が影を落としている。漁業情報サービスセンターの漁況予報によると、12月上旬は道東の来遊はなく、三陸、常盤も断続的な来遊とみられる。

 道内の11月水揚げは、花咲が2,300㌧、厚岸が1,400㌧円となっており、累計では1万㌧を超え、1万750㌧程度と前年の5割程度の水揚げにとどまり、平均㎏単価は500円近くまで高騰、前年の300円に比べ6割以上高かった。


令和2(2020)年の全道秋サケ来遊状況 5年魚が少なく、資源量は減少傾向、成熟年齢の若齢化

2020-12-01 21:56:41 | ニュース

 令和2年前中期(10月末)の全道秋サケ来遊数(沿岸での漁獲数と河川での捕獲数の合計)は1,719万尾と予測比94%と予想値に近い数量となったが、海区別にみると、根室、えりも以西で予測を大きく下回った。沿岸域の水温が高く、前期群の来遊に影響し、知床半島の高水温の水塊がオホーツク東部地区の不振につながったとも考えられる。

 今年は5年魚の来遊が191万尾と少なく、予測値の85%、前年同期の33%だった。年齢組成は平成30年に類似し、年級別の来遊数をみると、サケの資源量は減少傾向にある。4年魚で回帰した平成28年級は1,315万尾で予測値の97%、前年同期の158%と平成24年級と同程度にまで増加したものの、資源回復にはほど遠い水準で、平成20年級以降、年々5年魚の割合が低下し続けており、成熟年齢の若齢化が進んでいる。

 そのため、魚体重は小型で推移したが、10月下旬以降は大型化し、平年並みまで戻した。しかし、3年魚の増加によりオホーツク海区の10月中旬以降、根室海区の10月上旬以降は平成30年より小型化した。

 以上は、11月26日の道連合海区漁業調整委員会の報告(道総研さけます・内水面水試)による。

 また、道さけ・ます増殖事業協会が取りまとめた11月10現在の魚種毎の捕獲採卵状況は、サケは親魚捕獲計画の126万4,640尾に対し、実績が240万8,550尾で達成率190%。採卵は11億8164万粒の計画に対し、実績が9億3,864万粒で達成率79%。海区別にみると、親魚捕獲は根室とえりも以東が計画に対し49%にとどまり、採卵数も同じく51%となっている。


令和2年秋サケ沿岸漁獲速報(11月20日) 1,564万尾と前年比3%増、金額348億円と22%増

2020-12-01 21:55:37 | ニュース

 本道に来遊する秋サケの沿岸漁獲は11月下旬までに、えりも以西を除きほぼ終漁した。全道の漁獲は1,600万尾にとどかず、金額も350億円を下回る公算となった。

 道連合海区漁業調整委員会の漁獲速報(11月20日現在)によると、全道の秋サケ水揚げは1,564万4,388尾で前年同期に比べ3.4%増。11月10日からの上積みは26万尾で、うち20万尾はえりも以西だった。金額は魚価のジリ高を反映し347億7,084万円で同21.6%増。道漁連の集計によると、11月20日の全道累計は4万5,600㌧で、最終的に前年実績(4万5千㌧)を上回ったが、期待外れに終わった。

 系統群別では、日本海が88.0%増でほぼ終漁、オホーツクが12.2%増と前年同期を上回っている半面、根室(40.2%減)、えりも以西(21.7%減)、えりも以東(14.2%減)の前年割れが続く。特に根室は前年同期より105万尾以上少なかった。11月10日に比べ、えりも以西が20万尾、オホーツクが3万尾、えりも以東が2万尾増えた。


太平洋クロマグロ訴訟 札幌地裁が請求棄却 「大臣の広範な裁量の範囲」として原告の訴え認めず

2020-12-01 21:51:35 | ニュース

 留萌管内で沿岸クロマグロ漁に従事する漁業者9人が国、道を相手に「不当に漁業の権利を奪われた」として訴えていた裁判が2年の審理を経て27日午後から札幌地裁で判決が言い渡され、原告の訴えはすべて棄却された。

 805号法定で廣瀬孝裁判長は「原告らの請求をいずれも棄却する」「訴訟費用は原告らの負担とする」と主文を言い渡し、事実と理由を簡潔に説明した。

 それによると、平成27年から実施されたクロマグロ資源管理の第3管理期間中(平成29年9月〜10月)に道南の定置漁業が小型魚の漁獲枠を大幅に超える漁獲をしたため、国は第4管理期間(30〜31年)から超過分を都道府県単位に次年度漁獲枠から一括して差し引く対応をとった。そのため、留萌管内で一本釣りやはえ縄を操業する原告らは道の指示で操業を中断した上に、翌年から北海道の漁獲枠がわずか8.3㌧(実質ゼロ)に削減された。

 裁判では、国の違法性として①資源管理法、漁業法および水産資源保護法に基づく法的な措置をとらなかった②零細漁業者への配慮を怠った③法律上の明文規定がないのに超過差引を行ったことなどの認定が争われた。

 廣瀬裁判長は、漁獲可能量(TAC)の設定の時期は「農林水産大臣は広範な裁量に委ねられており、第3管理期間の始期(平成29年7月1日)の時点で法律に基づく採捕制限を行わなかったことは著しく不合理とはいえない」。また、「漁業者への減収対策となる漁業収入安定対策事業の内容に照らし、零細漁業者への配慮を何ら行わなかったとはいえない」。さらに「超過差引は資源管理法に基づく農林水産大臣の裁量の範囲内の措置」とし、道の違法性も「著しく不合理とはいえない」と訴えを退けた。

 その後に開かれた記者会見で、原告代表の高松幸彦氏は「行政寄りの判断で零細漁業者の訴えを切り捨てる判決。悔しい気持ちでいっぱいだ。この国は三権分立がないのかと言いたくなる。大臣の裁量で何でも押し切られるのであれば、12月1日から始まる新漁業法の漁業管理にも影響する」。原告の一人で子息の高松亮輔氏は「正直者が馬鹿を見る判決で納得がいかない。まったく非のない漁業者がなぜ連帯責任で漁業の権利を奪われるのか」と不当性を訴えた。伊東秀子弁護士は「国際法、国内法に書かれている採捕停止の措置を無視して原告の訴えを棄却した今回の判決は放置できない重大な問題を含んでいる」と述べた。

 道は「国や道の主張が認められたものと考えるが、結果は厳粛に受け止め、引き続き適切な資源管理に努める」とコメントした。