降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★伝統型新聞か、デザイナーズ型か。

2012年07月07日 | 新聞
これで論文が書けるかもしれない――と思った。
だはははははははははは。

現在の日刊一般紙は
「伝統型レイアウト紙面」新聞
「デザイナーズ型レイアウト紙面」新聞
に分けられるのではないか。

▽伝統型紙面=代表は「日本経済新聞」。
ニュース記事をタタミ、ボックスにせず、
ダラダラ流す、明治以来の伝統的旧態依然レイアウト。
この日本独自のガラパゴス縦組みダラダラ・フロー(流し)のために、第1期CTS(コンピューター組み版)を開発したIBMスタッフは何度も机をひっくり返そうとしたという(杉山隆男『メディアの興亡』から)。

▽デザイナーズ型紙面=代表は「産經新聞」。
1988年、当時日本一汚い(→凸輪転印刷が悪く、手が真っ黒く汚れる)新聞と言われていた「サンケイ」が社運をかけて紙面刷新、
全国紙初オフセット全個面カラー印刷開始は衝撃だった。
さらに「四季が見える新聞」とうたい、1面から広告を排したことも仰天だった(→まあ、さすがに現在は広告が入った)。

ニュース記事を流さずにタタム、ハコにする、同紙のレイアウトは斬新で、
毎日新聞(中折ハラキリ型)や、現在の朝日新聞にも影響を与えた(と思う)。

全体をデザインするアートディレクターを導入した初期「産經」整理部と社長室の、パイオニア的功績は大きいと言わざるを得ないのであります(→おおっ、カッコいい終わり方)。


(^-^)/

★「得した」と感じる新聞別刷りは。

2012年07月06日 | 新聞
週末「得したなぁ」と感じる新聞の別刷りは――。
▽朝日新聞土曜版「be/赤・青版」
▽日本経済新聞「NIKKEIプラス1」=写真。

とくに、端整な紙面レイアウト、余分なことばを削ぎおとした文章の「青be/フロントランナー」は毎週たのしみにしている。
6月30日付「『怪物』と名もなき大衆を描く/ノンフィクション作家・佐野眞一さん(65)」は、とても良かったぁ(→僕が佐野ファンということもあるけど)。

「(事件の犯人とされたマイナリ元被告の再審が認められた)6月7日は殺された東電OLの誕生日なんです。
僕はあらためて、彼女の闇の『磁力』のすごみを感じました」(引用)

「東電OL」という語を余計な配慮をせず、当時のまま言い換えずに使っていて、さすがである大御所、と思った。
「赤/be」とともに、今どき珍しくカネかけているように感じる編集だし(笑)。

では、別刷り「日曜版」はどうなのだ? と言われると困るが、あまり目を通さないので……(←こらっ)。
なんとなく、しいて別刷りしなくてもいいものもあって、産經新聞のように本体中面に挿してもいいのでは……(←こらっこらっ)。


( ̄0 ̄)

★清武記事不発だったけど、週刊朝日は。

2012年07月05日 | 新聞
【6月27日付の続きです=一部敬称略】

第2弾はどうなるのだ? と期待した
「清武英利元巨人軍GM×鳥越俊太郎/対談」=写真
だったけど、内容はすべて「既報」だった……。

さらに、ほとんど
「私(清武)は正しい。間違っているのは渡邉(恒雄・読売新聞社主筆)さん」
という感じで、ガックリ×2(→3日のネット番組生出演でも強調していたね)。
鳥越さん、もっと突っ込まないとぉ(→突っ込んだけどカットされたかも、2ページだもん)。

編集長が変わると、突撃モードになるのは、新聞と同じだなぁと感じた。
妻の告発が続く--。
「告発スクープ! 正妻が告発!『脱法重婚』で妻2人/元国税庁長官に脱税疑惑--財務官僚のやりたい放題を許さない」
のほうが面白かったというか、ムカムカッと来た。
元国税庁長官・大武健一郎氏(65)の正妻・満里子さん(61)が、自宅にあった黒革の手帳(健一郎氏の現職時代1986~96年の12冊!)をもとに告発したもの。
以下、引用です。

「長女が20歳になり、区役所から国民年金を納付するよう連絡がきたとき、満里子さんが(健一郎氏に)相談すると、大武氏は繰り返し
『国民年金なんか払うな。将来は破綻してもらえないから損をする。
俺は厚生省で年金のスペシャリストだったんだぞ』
と言い放ったという。」
生々しい。

さらに、スゴいのは
「手帳の記述は小説の下書きだから!」
と、弁護士と現役国税職員を引き連れて、「週朝」記者に言い切った大武氏。だはははははは、すごい浅知恵。
清武記事第2弾は不発だったけど、とんでもない大スクープがあったから許しちゃう。



(▼皿▼)


★他人を尾行したくなる!

2012年07月04日 | 新聞
待っていました!
小池真理子さん最新作『二重生活』(角川書店、1890円)=写真。
テーマは、ずばり尾行!

あらすじ。
大学院生25歳の珠(たま)は、仏マルチアーティストのソフィ・カルの
「文学的・哲学的尾行」(誰かを尾行して、ただ観察するだけ)
という考え方に触発され、近くに住む出版社部長・石坂を尾行した。
不倫デートを目撃し、家族の前の顔とは別の素顔を愛人に見せた同部長の「二重生活」に衝撃を受けた珠は――あとは言えないムニャムニャムニャ。

尾行。
下世話にいえば、他人の秘密を覗き見ることか。家政婦ハミタ。
普通なら、ストーカーレベルのサスペンスになりそうだけど、小池さんは仏哲学者の言葉をキーワードにして、多彩な耽美な仕掛けをしている。

関係ないけど――、
以前、ある作家の告別式で、小池真理子・藤田宜永さんを見たが、文壇美男美女夫婦だなぁと思った(けど、尾行はしなかった)。

【小説『二重生活』オモシロ度=★★★★☆】尾行シーンが、実に詳細に書き込まれている。取材で、小池さんも誰かを尾行したのかも。
また、直木賞受賞作『恋』(1995年)に通底している気もした。


(^o^)/

★紙面審査委員を、牛田くんに!

2012年07月03日 | 新聞
朝刊を開いて、わが目を疑った。
日本経済新聞を愛読する12歳――。
クラシック界の神童とは聞いていたけど、ピアニスト・牛田智大くん(12)が
「日本経済新聞を読むようになったのは小学生のころからです」

日経新聞7月2日付「日経の読み方/コラム・私の日経時間」=写真。
新聞の将来は、まだまだ捨てたもんじゃない(以下、コラムから引用です)。

牛田くん「今通っている中学校は教室に日経新聞が置いてあり、自分以外にも読んでいる友達がいますよ」
 →新聞を読むだけでも感謝します(笑)。他紙も面白いです。

牛田くん「僕はまず1面のコラム『春秋』や文化面を読みます」
 →き、き、君は本当に中学生かい?

牛田くん「もちろん、分からない言葉も出てきますが、親に聞いたり辞書を使って調べたりします。
でも、難しい言葉を解説した用語集のようなものがあるといいなと思うこともあります」
 →12歳くんの貴重なご意見、反映させていただきます。
ご両親は、いいご教育をされましたね。頭がさがります。

知人に勧められて、牛田くんのデビューCD「愛の夢」を買っていたけど、
演奏と同じように端整な受け答えなんだね(→文責構成者がうまいのか)。
たぶん、とある新聞社がCM起用に動くけど、
「演奏の勉強と、学業優先ですから!」
と断ってくださいね。

――――さらに、驚いた。
牛田くん「息抜きは小説などを読んでいます。とにかく活字が好きなんです」
ぜ、ぜひ、紙面審査外部委員をやりませんか?
【牛田智大(うしだ・ともはる)】東京都生まれ。今年3月最年少CDデビュー。「ショパン国際ピアノコンクールinアジア」5年連続で部門最高位。



(^o^)/

★野村證券、謝罪は口実→営業電話だった。

2012年07月02日 | 新聞
【写真は本文と関係ありません】

「このたびは、当社の一部社員の不祥事、深くお詫び申し上げます。まことに、お客さまには多大なご迷惑と不信感をお掛けいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます……」
突然、口座のある野村證券支店営業から電話が来た。

僕「露見しただけでも、野村證券さんは3回もインサイダーに関わっていますね。
これは一部社員の不祥事どころか、社の構造的問題ですね! 
インサイダーは、証券会社がやってはならないことすら分からなくなりましたか」
野村證券支店営業スタッフ「……はあ、ご指摘の通りでございます。本社をはじめ、再発防止に全力を挙げております」
ここまでは、マニュアル通り対応だな。

<あの~、お客さま。お言葉を返すようですが、インサイダー関与は当社・野村だけではございません。
SMBC日興証券、大和証券の国内3大証券すべてでインサイダーでございますので……>
と言ってきたら怒鳴りつけようと思っていたら、さすがに言わなかった。
だははははははははは。

ところが、インサイダーお詫びの電話だけかと思ったら、
「…………ところで、いい配当のプレミアム商品が出ましたが、いかがでしょうか? ご説明申し上げたいのですが、当支店までお越しいただけませんでしょうか」
怒! 怒! 怒!
お詫びは口実で「営業コール」かいっ。
おまけに一歩も動かず、顧客(→吹けば飛ぶような超小口だけど)を呼びつけるとは。

――金融庁のiくん、遠慮しなくていいからな。がんがん、行ってくれ。


(#`皿´)