降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★ツバキ文具店はなかった=初秋の鎌倉編❶

2016年09月23日 | 新聞/小説


北鎌倉に住む未亡人……ではなく知人と、初秋の鎌倉(神奈川県)を歩いた。
新宿から湘南新宿ラインで58分、古都・鎌倉って近いじゃん。

北鎌倉の未亡人……ではなく知人は鎌倉周辺に詳しいので、以前読んだ『ツバキ文具店』(小川糸さん、幻冬舎・税別1,400円)を案内してもらおうと思った。
*小川糸さん
1973年、山形県山形市生まれ。小説家、作詞家。
デビュー作『食堂かたつむり』で、2011(平成23)年イタリア・バンカレッラ賞、2013(同25)年にフランス・ウジェニーブラジエ小説賞を受賞。
その他に小説『蝶々喃々』『つるかめ助産院』『あつあつを召し上がれ』、エッセイ『ペンギンと暮らす』『たそがれビール』など多数。

*『ツバキ文具店』
2016年4月20日第1刷→同8月30日第6刷。売れている!
鎌倉で代書屋を営む雨宮鳩子の文字、手紙をめぐる四季折々のハートウォーミング物語。
「言いたかった、ありがとう。言えなかった、ごめんなさい」
「伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします」
「ラブレター、絶縁状、天国からの手紙……今日も鳩子のもとには風変わりな依頼が舞い込みます」
と同書オビコピー。
面白いのは、各編に挿し込まれた手書き文字の手紙図版(萱谷恵子さん筆)。
こんなにたくさんの美文字を操れる人がいるとは!とほれぼれした。


「ツバキ文具店」は、どこにある——。
小説内では、
▽鎌倉宮(写真)の北裏で、二階堂川沿い細い路地を入ったところ
▽歩いて数分のところに「小学校」(清泉小のことか)。
ツバキ文具店にやってくる客の多くが児童
▽上半分がガラスになっている両開きの古い扉の店。
扉左に「ツバキ」、右に「文具店」と書かれ、店舗入り口には大きな藪椿の木がある
▽同店前に、昔の赤い郵便ポスト
▽近所に「魚屋・魚福(うおふく)」
▽同店から材木座・光明寺まで徒歩約1時間ほど
*鶴岡八幡宮と鎌倉宮
「鎌倉幕府をひらいた源頼朝をまつる神社が鶴岡八幡宮なら、こちら鎌倉宮は、鎌倉幕府を終わらせた側をまつる神社である。神社の裏手には、ご神体である護良親王が幽閉されていたという土牢が今も残されており」(同書14ページから)
………へぇ、勉強になった。
地元情報がけっこう書かれているので、鎌倉ガイドブックとしても面白い一冊だった。


小説の記述をキーワードに、iPhone片手に「ツバキ文具店」を鶴岡八幡宮から鎌倉宮、二階堂川沿い、小高い山の麓を探した探した、歩いた歩いた、雨に打たれた犬に吠えられた。
…………だけど、ツバキ文具店は無かった(⬅︎当たり前、小説!)。