川の土手下まで下ったので、98km地点からは予想外の登りが現れた。
こんな小さな登りが絶壁のように見える。
スピードが上がらない。
せっかく追い付いた「青」ナンバーランナーがまた小さくなっていく。
手が硬直して、ストップウオッチのラップとスプリットの切り替えができない。
推定で、17時17分だ。
残り13分。いつもは速い年でも16分かかっている。
大ピンチ状態。
99㎞地点。
美女美容師が猛烈な応援をしてくれた。嬉しい。
写真
99㎞地点
先頭の「青」ナンバーランナーにはゴールまで着いていった。
だが、完走者名簿には無かった。
黄色ウエアー、「シルバー」も名簿には載らなかった。
3人目(40才台ランナー)は、前の二人を追い抜き、完走者名簿乗ったもよう。
街に入り、残り1km地点で、道路右側の歩道に向かいかけたら交通指導員に
左側歩道に行け、と指示されてしまった。
10m「遠回り」になった。この10mは、本当にもったいなかった。
仲間の仁さんが伴走違反すれすれの、大応援。
「手を振れ・・・・、顔を上げるんだ・・・・」声を限りの声援を続けてくれる。
ここで力を出さなければ、この1年何をやってきたのだ・・・・との思いが頭をかすめる。
歩巾を10cm大きくして、手を振り、一段スピードアップ。
商店街からゴールに向かって最後の右折。
ゴールまで残り400m。
40m前にいる「青」ナンバーに追い付かなければゴールは無い、
とは感じたがこのスピードで行けば10秒は残る、とも思っていた。
必死に食らいつく。100m当り30秒で走った。
すでに必死のスパートを5kmも続けてきた。
これ以上の力は残っていなかった。
東京オリンピックで、ゴール寸前に外国選手に追い抜かれた「円谷幸吉」選手か・・・・。
彼らに1km当り2分でスパートせよ・・・というのと同じような状態だ。
「シルバーがんばれ」の大声援が「わーん」と聞こえる。
この1年の苦しい練習がモノになるか否か。
ゴールへの最後の左折20m手前で、
「パーン、パーン、パパパーン」聞きなれた煙火が鳴った。
えー・・・・・、終わったのだ。
大声援が、一斉に「あー」と言うため息に変わった。
スパートのまま、ゴールテープきりながら、倒れ込んだ。
サポーターの武博さんに抱きついたが、地面に転がってしまった。
気が付いたら車椅子に乗っていた。
ああ、今日はもう走らなくてもいい・・・・。
この安堵感がなによりも嬉しかった。
15mにまで追い付いた「青」ナンバーランナー(クリスタルランナー)は、
ゴールへの左折5m手前で、煙火だったのだろうか。
完走者名簿には発見できなかった・・・・。
そのすぐ後ろにいた「黄色」ナンバー(50㎞レースランナー)も
完走者名簿には発見できなかった・・・・。
もちろん「シルバー」も発見できなかった。
リタイアーランナーのなかで、2番目か。
自分がゴール20m~30m手前で、アウトになるとは全く考えたことはなかった。
長い1日・・・・1年がおわった。
反省はこれからだ。