一発芸

今更語る必要もないが、睡眠中にみる夢というのは、支離滅裂である。

そのなかでも困るのが、いきなりプレゼンや、演劇の端役が回ってきたりする夢。

なんの準備もしていないのに、「プレゼン」や「ピノキオ役」をやることになっていたりするのだ。

今日の夢では、「プレゼン」ではなく「一発芸」を要求された。

忘年会か何かで、なぜかかねてから決められていた「一発芸」を披露しなければならなくなった。

当然冷や汗もので、かなり困ることが予想されるだろう。

しかし「一発芸」に関しては違うのだ。

何を隠そう、僕には一発芸の「牛の鳴きまね」があるのだ。

いつだったか牧場に牛を見に行ったとき、柵のこちら側で、牛の鳴きまねをしたら、本来いるべきでない（ひとしかいないはずの）領域に牛がいるのでは?!とみなを一斉に振り向かせたことさえある。

そんなわけで今日の夢の展開にはビビらなかった。

よし、ついにこれを披露する時がきたか、とやる気満々で、牛の鳴きまねをした。

が、さすが夢の中、現実世界ではあれほど讃嘆させた鳴きまねが受けなかった！

たしかにそんなに大したものではないから喝采は望めなかったかもしれないが、「そっくり」ぐらいの嘆息があってもいいはずだった。

夢とはいえ、自信があっただけにショックだったのだ。

だからさっきひとりで何度も牛の鳴きまねをした。

いい音だった。