イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

クリスマス前の浮かれきったイギリス国民の前に突き付けられた現実、総選挙!選挙運動に見る国民性?

2019年12月08日 09時00分00秒 | 気になる出来事、社会情勢

先週、うちの近所のバス通りにある家の門口に「ブレクジットを叩き出せ!ボリスを(どぶに)捨てろ(意訳)」と書いてある手作り看板がたてられました。


ボリスを(どぶに)捨てろのつけたしのくだりから、今回の総選挙に向けたキャンペーンであることが明らかですね。

なぜか現首相のボリス・ジョンソンはまるで親しいお友達のように「ボリス」とファーストネームで呼ばれることが多いのです。
なぜだ?
同じ保守党のメイ前首相もキャメロン前首相も テリーザとかデイヴィッドとか一般に呼ばれることはなかったはずなのですが。



話がちょっと変わって...

来週12月12日の総選挙 General Election に向けて選挙戦が白熱化しています。

政権の交代、ブレクシット Brexit (イギリスのEU 離脱)決定を白紙に戻す可能性もあり!のものすごく重要な選挙なのです。

玄関ドアに差し込まれていた地元選挙区のリブデム(Liberal Democratic =自民党)選出のトム・モリスン候補者の「政見フライヤー」です。


下品なバカ笑いのナイジェル・フォラージュ前ユーキップ党首と 自信なさげな無能風ボリス・ジョンソン首相(左側)の写真と、さわやかな笑顔の自分(右側)の写真を対比させ、「彼らに与する輩と僕の どちらを選ぶか有権者の皆様の選択は明らかです」といった趣旨の説得文を載せています。

ナイジェル・フォラージュはユーキップ(UK Independent Party イギリス独立党) の元党首で、現首相のボリス・ジョンソンとともにブレクシット決定を実現させ、イギリス国内を空前絶後の混乱にたたき落とした張本人です。

リブデムは党を挙げて一貫したブレクシット粉砕を公約に上げています。


ところで私の住む地域の選挙区では、伝統的に(現)第一野党の労働 labour 党 は絶対当選しないことになっているのです。
保守 Tory 党とリブデムの一騎打ちが長年続いているのです。

そのためリブデムは毎回、保守党の当選を阻止するために労働党の支持者にもリブデムに投票するよう、強く呼びかけています。

☝上の写真のリブデムの 笑顔がさわやかなトム・モリスン候補者のフライヤーに、敵対候補である労働党の党首、ジェレミー・コービンの写りの悪いショボい写真を載せて「間違った選択」例に挙げていないことからも明らかです。

実際、どうせ当選する可能性がゼロの労働党に投票して票をドブに捨てるよりは、保守党よりはまだマシなリブデムに投票する労働党の支持者もとても多いのです。

労働党支持のうちの夫は、政治に間違った駆け引きは絶対に無用だと、毎回労働党に投票して票をドブに捨てています。
(ちなみにイギリス国籍のない私は選挙権もありません)

前回もお伝えしたようにイギリスの選挙戦では写真入りポスターも名前連呼の宣伝カーもありません。
支持者が自宅に表示する党名と候補者名が書かれたポスターと、選挙区の住宅の郵便受けに投げ込むフライヤーが運動の主流です。

候補者本人が各家庭を一軒一軒周り、「なにかお困りのことはありませんか」と投票を呼びかけることもあります。

上の写真のフライヤーに、「自宅前にポスターを表示してくれる支持者募集」の一文がありました!

もちろん、保守党のメアリー・ロビンソン候補のフライヤーも投げ込まれたのですが、夫が怒って破り捨てたため手もとに現物がありません。

あれ....?労働党候補者のフライヤーをそういえば見たことがありません。

そういえば....うちの選挙区でポスターを掲げているのは今回圧倒的に「票をドブ」の労働党支持者が多い気がします。


先週ストックポート日報にのせた、非常に珍しい候補者の写真入りポスターです。☝

写真入りが禁止されているわけではないのに普及していない理由は(以下、全くの私見ですが...)
イギリスでは人種、性別、年齢、それに容姿などを投票の判断の基準にしてはいけない...という意識があるのではないかと思うのです。

誠実そうなさわやかな笑顔でカメラを見つめる日本の選挙ポスター式の運動はもしかしたら美男美女候補者には有利に働くのではないか?とも思うのですが、イギリスではかえって「イケメンを鼻にかけている」といった評価をされかねないのでは?



金づちを持って支持者の家の前に立て看板をたてに行く労働党候補者のドクター・ザヒード・チャウハンの選挙運動員を見かけました。



歩いてほんの20分ぐらいのところにある私の職場はとなりの選挙区なのです。

黄色はリブデム...


赤は労働党...




....のシンボル・カラーなのですが、保守党のロイヤル・ブルーはこの近所にはそういえば見当たりません。


さて、一番上☝のブレクシット反対看板の話に戻ります。

去年のクリスマス前、この家の門柱には「ALL I WANT FOR CHRISTMAS IS A PEOPLE'S VOTE !クリスマスに欲しいのは(ブレクシットの是非を再考する)国民投票だけ!」とプリントアウトした紙が何枚もはり付けてありました。

写真を見つけ出しました!!(年が明けた今年一月に撮った写真ですが)


マライア・キャリー の大ヒットクリスマスソング、♪ All I Want For Christmas Is You ♪ のもじりなのは明らかです。

「お前はガキか?負けを認めろ!(意訳)」という通りがかりのブレクシット支持者による油性ペンの抗議フレーズも。

私はブレクシット決定後のイギリス社会に強く悲観するブレクシット大反対派なのですが.....

反対派が、「もう一度国民投票を!!」強く求めている態度には疑問があります。

いや、だって2年前の国民投票で多数決で決まったんでしょ?
民主主義だから決まったことには従わなきゃ...と思うのですが。

反対派が再度の国民投票のことを「人民の選択 PEOPLE'S VOTE」というものものしい社会主義国っぽい名称で呼んでいるのもなんだかなぁと思います。
第一、もう一度国民投票をしたところで逆転する保証はないのですし...

うちの夫を含む前回の国民投票の結果を「無効」だと主張する人たちの論拠は「もーのすごい僅差だから」に尽きるのですが、もう一回やって逆転したとしてもやっぱり、僅差だと思うのです。

完全に国を二分しているブレクシット。
町内会や職場や家族やパブの飲み仲間やフェイスブック上にまで論争は持ち込まれ、意外なことに意外な人が自分と意見が違ったりするので疑心暗鬼になってしまう人もいるらしいのです。












コメント (8)
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