イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

赤いポピーであふれるイギリスの晩秋の重要な愛国行事、(疑問あり)

2017年11月11日 09時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

毎年、10月の半ばごろから始まる、赤いポピー募金運動 Red Poppy Appeal





ショッピングセンターで赤い紙のポピーを退役軍人(勲章を付けたおじいさん)といっしょに売っている、赤いコートの女性は・・・!ストックポートの市長です!



1ポンドかそれ以上寄付したら、みんながつけている普及版の赤い紙のポピー(一番最初の写真)がもらえます。
もうちょっと寄付すれば、王室のメンバーがつけているような上の写真でリースになっている大き目の、ちょっと手の込んだ造りのポピーがもらえます。


ブレスレットや、エナメルのピンバッジ、連隊の記章なども売られています。
売り上げは全額、戦死した軍人の遺族への補償や傷病復員兵の生活支援などの義援金として使われます。



第一次世界大戦の戦場だったフランダースの野原に、戦後赤いポピーがいっぱい咲いたという故事から、赤いポピーは戦没者追悼のシンボルになっています。

ポピーの赤は、戦場に斃れた兵士の血の色でもあります。

赤いポピー運動は、第一次、二次の二つの世界大戦のみならず、イギリスの軍隊がかかわったすべての国際紛争で命を落とした軍人の死を国民全体で悼む呼びかけなのです。

イギリスの秋、赤い紙のポピーを左胸につけた人々がいっぱいです。
テレビに出てくる人はほとんどすべてがつけています。

子供たちは学校に1ポンドをもって登校、学校でもらった赤いポピーをつけて帰ります。

チャリティーなのです。
お金が、必要としている人たちを援助することに使われるのはいいことです。

イギリスの軍人は、危ない紛争地に戦闘だけではなく国際援助や治安維持などのためにも派遣されています。
若い人たちが国旗に包まれた遺体となり、あるいは腕や脚をなくしたりして帰還してくるのを見るのは本当に心が痛みます。
援助できることがあればしたいと心から思うのですが・・・

レッド・ポピー・アピールって、イギリスにとってもたくさん存在する、チャリティー機関のひとつにすぎないのです。
国を挙げて、公的機関までが肩入れしてサポートするのはどうなのかと・・・イギリス国民ではない私など思ってしまいます。

大っぴらに言う人はあまりいませんが、イギリス人でもそう思っている人はけっこういるみたいです。

ほかにも援助を必要としている人、危険で立派な仕事をしている人はいっぱいいます。

若くして亡くなった民間人もいっぱいいます。
軍人や退役軍人だけの福利厚生が注目され、軍人だけが英雄扱い、軍人の死を特別に扱うことに疑問があります・・・。

深く考えすぎでしょうか。

今日、11月11日は第一次世界大戦の停戦協定記念日 Armistice Dayです。一般にはリメンブランス・デイ Remembrance Day あるいはレッド・ポピー・デイ Red Poppy Day として知られています。

1919年 11月11日、午前11時に第一次世界大戦が終了(実際は終戦ではなく、休戦)した記念日です。

毎年11月の第2日曜日(今年は12日)は、戦没者追悼の日曜日 Remembrance Sunday です。

今年は偶然、停戦協定記念日の翌日の日曜(明日)に当たります。
王室、軍隊、宗教、政府関係者が大掛かりな追悼記念行事を繰り広げる愛国的行事満載の日

テレビの中継は、軍服姿の王室メンバーや礼装で参加する各軍隊のパレードを深く考えずに見て楽しめます。

ストックポート日報 でおなじみのストックポート・アート・ギャラリー Stockport Art Gallery は・・・



戦没者を祀る「廟」でもあります。

入ったところにある、慰霊堂です。




英国の守護女神ブリタニアに花冠を授けられる兵士の寓像の両脇に、ストックポートから出征して戦没したすべての兵士の姓と階級が刻まれています。


ところで、中央に横たわる黒い十字架ですが・・・

毎年、戦没者追悼の日曜日には生花がさされた湿ったミズゴケが詰められて、ギャラリー前のギリシャ神殿風の階段中央に斜めに安置されます。


花が枯れるまで、ディスプレイは続きます。

いま、特定の宗教(キリスト教)を表現するシンボル、十字架ひとつを慰霊の儀式に使うのはまずいのではないかと思うのですが・・・

戦死したのはキリスト教徒だけではありません。
追悼の意を表するイギリス国民が信仰する宗教は実に多様です。・・・というか、信仰しているキリスト教徒ってそんなに今、いないんじゃないのかしら・・・?

イギリスは多民族を擁する複合文化国家(なはず)です!




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コメント (3)
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