小説「新・人間革命」に学ぶ 第22巻 御書編 2020年8月19日
今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第22巻の「御書編」。小説で引用された御書、コラム「ここにフォーカス」と併せて、識者の声を紹介する。挿絵は内田健一郎。
<人材育成グループ「五年会」の第3回総会で、山本伸一は、師弟について語る>
「日蓮大聖人と『同意』であることが、信心の根本です。その大聖人の御心のままに、広宣流布の大誓願に生き抜いたのが、牧口先生、戸田先生に始まる創価の師弟です。
ゆえに、創価の師弟の道を貫くなかに、大聖人と『同意』の実践があります。具体的な生き方でいえば、自分の心の中心に、常に厳として師匠がいるかどうかです」(中略)
初代会長の牧口常三郎も、第二代会長の戸田城聖も、国家神道を精神の支柱にして戦争を遂行しようとする、軍部政府の弾圧によって投獄された。(中略)戸田は、日蓮大聖人の御金言通りに、広宣流布のために戦う牧口に、勇んで随順したのだ。そこに、「日蓮と同意」という御聖訓に則った、現代における実践がある。(中略)
戸田は、牧口という師と同じ心、同じ決意に立つことによって、地涌の菩薩としての使命を自覚することができたのだ。伸一は、この牧口と戸田の師弟の絆について触れ、若い魂に呼びかけた。
「私は、その戸田先生に仕え、お守りし、共に広宣流布に戦うなかで、自分の地涌の菩薩の使命を知りました。創価学会を貫く信仰の生命線は、この師弟にあります。
どうか諸君も、生涯、師弟の道を貫き、この世に生まれた自身の崇高な使命を知り、堂々たる師子の人生を歩み抜いていただきたいのであります」
(「波濤」の章、202~204ページ)
<1975年(昭和50年)11月9日、山本伸一は、広島で開催された第38回本部総会で講演。広布の使命と自覚について語る>
「皆さん方、一人ひとりが、創価学会そのものです。それ以外には、創価学会の実体はありえないと確信していただきたい。
また、一人ひとりに、それだけの、尊い使命と資格があると説いているのが、日蓮大聖人の仏法であります」
自分自身が創価学会なのだ。そして、自分の周りの同志との絆が、自分のブロックが、創価学会なのだ。ゆえに、自身が成長し、友のため、社会のために尽くし、貢献した分だけが、広宣流布の前進となるのである。
自分が立ち上がり、勝っていく以外に、学会の勝利はない。
社会の組織は、集団のなかに埋没するようにして個人がいる。しかし、学会は、それぞれの個性の開花をめざす、異体同心という人間主義の組織である。
その組織の目的は、広宣流布の推進にある。それは、生命の哲理を人びとの胸中に打ち立て、人間の尊厳を守り、輝かせていく聖業なのだ。
私たちは、組織のなかの個人というだけでなく、自身の規範、誇り、勇気の源泉として、それぞれの心の中に、創価学会をもっている。
つまり、個人のなかに創価学会があり、その自覚が、各人の心中深く根を張っていることに、学会の強さがあるのだ。
(「命宝」の章、362~363ページ)
20世紀を代表する歴史学者トインビー博士は、1967年(昭和42年)11月、実業家の松下幸之助氏と対談した折、「これからの日本にとって一番大切な人は誰か」と尋ねます。この問いに、松下氏は池田先生の名を挙げました。
氏が先生と初めて会ったのは、その1カ月前の67年10月に行われた東京文化祭。役員の対応、一糸乱れぬ演技とともに、氏の胸を打ったのは、先生の心遣いでした。
多くの来賓の対応で多忙な中、先生は担当者を氏のもとに向かわせ、「なにか不都合はありませんか」等と伺います。この対応に、氏は「なんでもないことのようだが、(中略)そこまで心をくばっておられることに私は驚いた」と振り返っています。
「新世紀」の章に、「人との出会いは『一期一会』」「渉外は、誠実をもってする真剣勝負」とあります。この伸一の信念が、氏の心に感動を呼び起こしたのです。
88年(同63年)1月、還暦(60歳)を迎えた伸一に、氏は「本日を機に、いよいよ真のご活躍をお始めになられる時機到来とお考えになって頂き、もうひとつ『創価学会』をお作りになられる位の心意気で」と祝詞を贈りました。
今年の10月2日は、池田先生の海外初訪問から60周年の佳節。私たちも「いよいよ」との決意で世界平和を誓い、祈り、わが地域から新たな歴史の一歩を刻みましょう。