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小説「新・人間革命」学習のために 第17巻

2020年08月21日 | 妙法

マイ・ヒューマン・レボリューション――小説「新・人間革命」学習のために 第17巻  2020年8月21日

 小説『新・人間革命』の山本伸一の激励・指導などを紹介する「My Human Revolution(マイ・ヒューマン・レボリューション)」。今回は第17巻を掲載する。次回は「世界青年部総会特集<北米編>」を28日付2面に掲載の予定。挿絵は内田健一郎。

 
のうが深いほどだいな使命が

 <1973年(昭和48年)3月、第二東京本部の幹部会に出席した山本伸一が会場を出ると、十数人のメンバーが駆け寄ってきた。町田から来たという婦人は、伸一に、自身の来し方を報告した>
 
 「私が入会したのは、結婚前でしたが、その時は父母も、姉たちも大反対でした。家から閉め出されてしまったこともありました。
 
 “なぜ、学会のすばらしさがわからないのだろう”と思うと、悔しくって、何度泣いたかわかりません」
 
 「そう。大変だったんですね」
 
 彼女は、満面に笑みを浮かべて言った。
 
 「でも、今はそうしたことが、一番誇らかで、愉快な思い出になっています」
 
 「そうなんだ。そうなんだよ。厳しい試練の冬も、勝利の春が来れば、すべては喜びに変わる。涙あっての笑いです。労苦あっての歓喜です。苦闘している時には、“なんで自分ばかり、こんなに大変な思いをしなければならないのか”と思うこともあるでしょう。しかし、それは、自ら願い求めた使命の舞台なんです。
 
 苦悩が深ければ深いほど、それだけ偉大な使命を担っているということなんです。
 
 つまり、あなたは、どんなに厳しい家庭の状況であっても、家族の一人が立ち上がれば家庭革命はできる、一家和楽は実現できるということを証明してみせたんです。
 
 同じような状況で、悩み、苦しんでいる人が、その事実を知れば、皆が“私にもできるんだ!”と希望をもつでしょう。勇気をもつでしょう。
 
 ご家族の学会への無理解というのは、あなたがその使命を果たすための舞台だったんです」
 
 婦人は、何度も頷きながら、伸一の話を聞いていた。
 
 「人生の充実感や痛快さは、幾つ苦難を乗り越えてきたかによって決まります。いかに年齢を重ねようが、苦闘がなければ精神は空疎です。自分の幸福のため、充実のために、自ら戦いを起こすことです。そして、自身の挑戦のドラマをつくるんです」
 
 (「本陣」の章、93~95ページ)
 

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青春はこんなんこくふくするかつりょく

 <4月、大阪に創価女子学園が開校。創立者の伸一は、入学式で祝辞を述べ、青春についての洞察を語る>
 
 「私は、青春時代というのは、無限の可能性を前にして、非常に不安定で落ち着きがなく、鋭敏な神経が常に働いているというのが実情であろうと思う。
 
 未来の夢が、大きければ大きいほど、心労も大きい。しかし、若い皆さんは傷つきやすく、弱いように見えますが、決して、そんなものではない。どんな困難をも乗り越えていける活力、生命力をたたえているのが青春です。どうか、そのことに自信をもっていただきたいのであります。
 
 感情の振幅の激しさから、時に絶望に陥ることもあるかもしれない。しかし、皆さんの生命の底には、それを跳ね飛ばして克服するだけの力がある。これが、青春というものの本体であると私は叫びたい。これが、青春の特権です」
 
 伸一は、いつの間にか叫ぶような、祈るような思いで訴えていた。
 
 「人が老いて青春を懐かしむのは、まさに、この青春の活力を懐古しているということを知っていただきたい。ゆえに、苦悩や困難を決して避けるようなことをしてはならない。堂々と、それに挑戦し、立派に克服する皆さんであってください。
 
 ともかく、青春は無限の歓喜とともに、また、必ず心労がある。悩みがある。これは表裏一体であることを忘れてはならない。
 
 それを知って戦っていくところに、輝かしい青春時代があります」
 
 (「希望」の章、135~136ページ)
 

 
何があろうと“どうの信心”を

 <伸一は3月の本部幹部会で、皆が「開目抄」の「我並びに……」の一節を生命に刻むよう提案。翌月、東京・日大講堂での本部幹部会では、その一節を皆で拝読する声が響いた>
 
 「我並びに我が弟子・諸難ありとも疑う心なくば自然に仏界にいたるべし、天の加護なき事を疑はざれ現世の安穏ならざる事をなげかざれ、我が弟子に朝夕教えしかども・疑いを・をこして皆すてけんつたなき者のならひは約束せし事を・まことの時はわするるなるべし」(御書234ページ)
 
 いかなる難があったとしても、疑うことなく信心を貫いていくならば、必ず成仏できることを断言なされた御文である。
 
 ――天の加護がなくとも疑ってはならぬ! 現世が安穏でないからといって嘆いてはならぬ! 疑いを起こさず、師弟の約束を守り抜くのだ!
 
 そこには、弟子たちの成仏を願われる、師匠・日蓮大聖人の魂の叫びがある。
 
 伸一は、前月の本部幹部会でも、この御文を拝読し、力を込めてこう訴えた。
 
 「ここには、信心の極意が示されております。
 
 この一節を、生涯にわたって、生命の奥底に刻み込んでください。
 
 日蓮大聖人の仰せ通りに仏法を実践している教団は、創価学会しかありません。
 
 それゆえに、必ず諸難が競い起こる。しかし、何があっても広宣流布の根本軌道を踏み外すことなく、揺るがぬ信心を貫き、悠々と明るく進んでいっていただきたいのであります」
 
 今、創価学会は「広布第二章」の大空に飛翔した。それは、本格的な社会建設の時代の到来である。
 
 (中略)学会が、社会の建設に力を注げば注ぐほど、その前進をとどめようとする迫害も、激しさを増すことは間違いない。
 
 それだけに伸一は、必死になって、確固不動なる信心の「核」を、一人ひとりの胸中に、つくり上げようとしていたのである。
 
 そして、「開目抄」のこの一節を、全同志が座右の銘として、生命に刻むことを提案したのだ。
 
 (「民衆城」の章、265~266ページ)
 

 

ろうこそ仏法者のほこりと栄光

 <6月、「群馬・高原スポーツ大会」の会場に到着した伸一は、陰の力に徹する役員を激励する>
 
 彼は、すぐに控室には入らず、建物の脇をのぞいた。そこに、身を隠すように立っていた一人の青年がいた。
 
 “やはり……”と思った。
 
 設営や警備など、役員の青年たちは、最も苦労しながら、自分は決して表面に出ることなく、目立たぬように陰の力に徹しようとするのが常であるからだ。
 
 伸一は、陰の力として誠実に奮闘してくれている人に光を当て、讃えることこそ、わが使命であると自覚し、常にあらゆる人に炯々たる眼を注いでいた。
 
 人間主義とは、具体的にいえば、その気遣いの心である。皆の献身的な尽力を当然であるかのように考えることは、官僚主義といってよい。
 
 伸一は、青年に笑顔を向け、手を差し出した。
 
 「役員だね。おめでとう!」
 
 彼は、阿相良正という建設会社を営む青年で、会場の整備責任者であった。突貫工事で会場の整備を成し遂げ、この日、役員として参加していたのである。
 
 阿相は、感動で頭の中が真っ白になった。
 
 「先生! ありがとうございます」
 
 こう叫ぶ阿相に、伸一は言った。
 
 「役員として陰で黙々と頑張ってくれている人がいるから、行事の成功もある。また、そういう青年たちがいるから学会は盤石なんです。
 
 大変だろうが、『陰徳あれば陽報あり』(御書1178ページ)です。労苦は必ず報われるのが仏法です。『冥の照覧』を信じてください。本当にありがとう!」
 
 広宣流布のための労苦は、すべて、自身の福運となり、宿命転換の力となり、人間革命への飛躍台となる。ゆえに、われらは、勇んで今日も、使命の道を行く。
 
 信心とは、峻厳なる生命の因果の理法への深き確信である。したがって仏法者は、自分は楽をし、要領よく立ち回ろうとする者を最も哀れに思う。そして、労苦にこそ、無上の誇りと、未来の燦然たる栄光を見いだすのだ。
 
 (「緑野」の章、388~390ページ)
 

 

人間精神の復興運動

 1973年(昭和48年)の新年勤行会で伸一は、同年のテーマである「教学の年」の意義を訴えた。
 
 ◇ 
 
 「『広布第二章』の本格的なスタートとなった本年を、私どもは『教学の年』としました。それは、なぜか――。
 
 『広布第二章』とは、生命の尊厳や慈悲など、仏法の哲理を根底とした社会建設の時代です。言い換えれば、創価学会に脈打つ仏法の叡知を社会に開き、人類の共有財産としていく時代の到来ともいえます。そのためには、原点に立ち返って、社会を建設し、文化を創造していく源泉である、仏法という理念を、徹底して掘り下げ、再構築していかなくてはならない。ゆえに、本年を『教学の年』としたんです。
 
 大聖人は『行学の二道をはげみ候べし、行学たへなば仏法はあるべからず、我もいたし人をも教化候へ』(御書1361ページ)と仰せです。
 
 行学の『行』とは、広宣流布を推進していく実践です。『学』とは仏法哲理の研鑽であり、理念の深化です。この二つは車の両輪の関係にある。
 
 新しき発展のためには、教学の研鑽に励み、仏法の理念を究めていくことが不可欠になる。
 
 (中略)教学という理念がない実践は、社会の人びとを納得、共感させる説得力をもちえず、自己満足に終わってしまう。また、実践のともなわない教学は、観念の遊戯であり、現実社会を変革する力とはなりません」
 
 創価学会が広宣流布の世界的な広がりを可能にしたのは、どこまでも御書を根本とし、確固たる理念をもち、正しき軌道を決して違えることがなかったからである。
 
 伸一は、その仏法の哲理を時代精神にしていくために、自ら先頭に立って教学の深化を図るとともに、広く社会に展開していく決意を固めていたのだ。(中略)
 
 核兵器の脅威をはじめ、人類の滅亡の危機が叫ばれる今こそ、恒久平和の実現のために、人間精神の復興運動を起こさねばならないと、彼は痛感していたのだ。
 
 (「本陣」の章、9~11ページ)

 

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 聖教電子版の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」第17巻「解説編」の池田博正主任副会長の紙上講座と動画を閲覧できます。
 
 第17巻「解説編」はこちら

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